鹿本くんと住田くん | ナノ



鹿本くんと住田くん
04






男が俺で興奮してる。
聞こえる吐息をAVみたいだな、なんて考えれるくらい、頭の隅に凄く冷静な自分が居た。
ただ、それは隅っこに居るだけで、今の俺ってのはもう何も考えられなくって、男の動きに翻弄されてた。

鹿本はどんなのだったか、思い出せない。
ただ、こんなに激しい動きではなかった。
俺の体の中はむちゃくちゃで、圧迫感に吐きそうだった。揺さぶられる体を支えるために、和志に必死にしがみついてた。じゃないと俺の体は床に擦れて皮膚が傷むか、家具のどこかに頭や体をぶつけまくっているだろう。

「っ、っ、ぅ」

それくらい、激しくて、

気持いい。

けれど、俺の快楽なんてそっちのけ。薬使われた体ってのは凄くたまらなくて、もどかしい。
自分で触れようものなら、バランスを崩して目の前の和志に身を委ねるしかない。自分の快楽を取るか、そこはプライドで切り抜けるか。

プライドってなんだ?

こんな目に遭って、プライドも何もないじゃないか…。

「あぁぁぁ」

男が遊ぶように、ゆっくりと抜き出て行く。
自分の支えだったのか、ってくらい硬くなったソレ。
ゾワゾワと下半身を脅かす。

助けて欲しい。出したい。気持いいこと、したい。

和志に、縋るように視線を送った。

「…っと、お出ましのようだ」

熱っぽく答えた和志の視線は、そう言ってそっと俺から外れた。



「人んちで何やってんだ。ってこの前も同じような事言わせなかったか、お前等」



鹿本、だ。



「ん、あぁ、…か、鹿本」

ちょうど斜め後ろにある、玄関から入ってすぐのところで立っている鹿本に、懇願する視線を送った。

助けてくれ、俺を、開放してくれ。



「っ、」

舌打ちと共に、男の動きが激しくなる。ソレは俺にも分かった。…鹿本への見せつけだ。

今まで触れられることの無かった俺自身を、男はここぞとばかりに掴み、打ち付けのリズムと同じように擦り上げた。

「ん!あ、だ、ダメあ、あ、」

腰がまたガクガクと震えて、俺は簡単に達した。
散々この瞬間を待ってたのだ。堪えるなんて事頭で思ってても体はそうはいかなかった。

和志がそっと余韻の残る俺を引き離した。
頼るものがなくなった俺はベッドにうつ伏し、目の前に広がるシーツにしがみつくしか他無かった。

ぶれる視界で、再度振り向き鹿本を求めると、離れた和志が鹿本と男の間に立ちはだかるように立って何か鹿本に話をしている。

鹿本の視線は俺を捕らえて離れないまま。

怒りでもなく、笑いでもなく、貶すでもなく、ただ俺をじっと見ているだけ。


俺から視線を外さず、鹿本が和志を制して、俺がしがみついているベッドの傍へやってきた。

カチリ、と煙草に火をつけて一呼吸する。


「何やってんだよ」


知らない男に揺さぶられてる俺に零したセリフ。

「――――っ、」

誰のせいで、なんで俺がこんな目に。
鹿本は分かってて俺にこの言葉を浴びせたのか。


悔しさでも怒りでもなく

悲しみが取り巻いた。





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