鹿本くんと住田くん | ナノ



鹿本くんと住田くん
02





耳フェチと視線が絡む。

「ハルちゃん、悪く思うなよ。竜也の傍に居たことを恨むんだな」

助けては、くれないのだ。
耳フェチ野郎が現れて終わるのではなく、これから始まる。何をされるのか、その恐怖に声も出なかった。

黙ったままの俺に構いもせず、再び男は俺の体をまさぐった。
上がる熱はもう何か分かっていた。おかしなくらいに股間が反応するんだから意識を飛ばしている間に何かされたのだろうってことは明確だ。
まさか自分に降りかかるなんて思いもしない。テレビやネットや漫画、そんな世界の話だと、自分は関係ないのだと思ってたのに。

「和志、お前クスリ手加減しただろ」
「あらやだ、ソッコーでバレちゃった?」

和志と呼ばれた耳フェチ野郎はニタニタと笑って男に紙袋から水色のボトルを投げつけた。

「ハルちゃん、敏感だからあんまり盛ったら意識飛ばすタイプだろって俺の計らいよ?あ、耳は残しといてよ、俺へのご褒美に」

「俺は耳になんか興味ねぇよ」

男の手がズボンに掛かる。
先ほどからの抵抗は全く意味を成してない事は分かっていたが、されるがままでいるわけにも行かない。

「あ、のっ!――俺…なんで、俺がっ」

何とか相手の手を退けながら、疑問をぶつけていく。相手も引かず、手は確実に進んでいくけれど、意識は俺の言葉に向いた。

「鹿本には落とし前をつけてもらわなきゃなんねぇんだよ」

鹿本絡みなことはあの耳フェチの和志って奴の存在と、今鹿本の家に居るって事でなんとなく分かるのだけど。

「だから、なんで俺が、―――っん!」

ズボンをずらし、腰をつかまれると、背筋に快感が突き抜けた。ゾクゾクと、余韻を背中に残しながらゆっくりと和らいでいく。

「鹿本をどうのこうのするには面倒な上に面白くないだろ」

「・・・俺、関係、ない」

喉の辺りからも熱が上がってるようで、まるで息切れするようにしか喋れない。先ほどの快感で、自分の物が勃ち上がってることもどうする事もできないでいた。
隠そうと手を動かすと、和志に腕を押さえ込まれた。

そこで気付かないようにしていた恐怖心が出てくる。

怖がっては相手の思うツボだとどこかで思っていたのだけれど、此処まで来るとそうも行かなくなってきた。
何より自分の思考が思うようにまとまらない。

誰でもいいから、この熱を持った体をどうにかしてほしい。

「あっ」

面白そうに腕を撫でる和志の動きにさえ反応を示してしまう。自分がどうなってるのか考える事も億劫になっていた。
和志の手が、時折耳を撫でていく。
ついこの前に出合ったときの和志のことを思い出して身をよじるも、下では男がゆっくりとした動作で服を、下着を、剥がしていく。

「――っ」

パンツから自分の物が取り出されるのを感じ、羞恥が駆け上がる。
そんな自分の意思と反する体の反応に、気がおかしくなりそうだ。

「これだけでこんなになるか?」

ニヤニヤとした笑いが遠くで聞こえる。

「だからハルちゃんは敏感だって言ったじゃんか。意識飛ばされたら面白くないから量減らしたんだよねぇ〜」

俺って偉い?と耳に寄せられた和志の唇が、喋るたびに耳を撫でて、その動きにたまらず声にならず喘いだ。

「可愛いな〜」

和志の指がいつのまにか溢れていた涙をぬぐった。





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