鹿本くんと住田くん
05

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「あ、無理･･･っ」

「無理じゃねーよ」

　長く時間を掛けられて、すんなりと鹿本の指を受け入れている自分が信じられなかった。不快感だって、恐怖だって拭えないのに、体と言うのは慣れる様に出来ているのだろうか。シーツを掴んでいる俺の指はまだ弛まない。
　一体そこはどうなってんの？なんて聞いてしまいそうになるけど、鹿本のことだ、見てみるかなんて言いだすに違いない。

　たっぷりオイルを注ぎ込まれた後は、何の抵抗も無く、鹿本の指を受け入れる。それでも鹿本自身をあてがわれた時にはさすがに忘れた恐怖とかも蘇って思わず身体を強張らせた。

「無理じゃねーから、力抜け」

「んぅ」

　鹿本が俺を握り込んでくると、腰が揺れる。そしてそれは少しずつ、進入してくる。
　引き裂かれるような感覚と、俺を埋め尽くすような感覚と、掠れていた声は、音にならなかった。

「って、･･･息吐いて」

　言われるがまま吐けば、鹿本で埋められる。鹿本も俺の耳元で息を吐いた。


「あ、つい･･･」

「あぁ」

　一言、答えると鹿本は俺の尻を掴んだ

「んんっ、」

　まだ、入ってくるのか、って頭の中では抵抗の言葉を吐いていたんだけど。
　オイルで、抵抗なんてさほど無いはずなのに、鹿本は少しずつ、俺の中に入ってくる。それが救いだった。

「あっ」

　鹿本が、俺の中に居る。
　尻に当たる、鹿本の皮膚から伝わる体温が何よりも俺の羞恥を煽った。

　こんなに密着して、それだけ俺の中に入ってるんだと。

「ごめ、もちそうにない」

　うわごとのように呟いて、そして緩やかに鹿本が俺の中を擦り上げていく。

「ふ、あっ･･･」

「痛くないだろ」

　痛くないけど、痛くないけど･･･圧迫感が半端ない。広げられている入り口が、たまらない。

「くっ、あ、ぁぁっ」

　仰け反れば、鹿本が喉に触れる。　
　そして顎を掴むと無理な姿勢の状態で顔を向かされ、鹿本の唇が落ちてきた。同時に深まる結合に、喉が鳴った。

　その音を鹿本が吸い込むように唇を重ね、それをきっかけに徐々に動きが大きくなってくる。


「あ･･･、くっ、あぁっ！」

　汗が噴出す。
　鹿本が奥を突くたびに汗が噴出して、そして震える。身体が、おかしくなっていく。

「だめ･･･っ、ひっ･･･あ、あぁっ･･･」

　シーツを握り締める俺の手に、鹿本の手が重なって身体までも包み込まれる感覚にどうしようもなく感じた。

「わりぃ･･･後でちゃんと洗ってやるから」

「？･･･な、なに････っあ！」

　鹿本の手が俺自身をを握り込むとまた熱が上がった。


「あ、あっ･･･もうっ！」


　お構いなしに追い上げられると、俺はあっけなく果てた。

　ビクビクと、身体を揺らせば鹿本が息を飲むのが分かって、その直後ガツガツと突かれると体内で熱が弾けるのを感じて、また震えた。

「う、あ･･･」

　自分の中に生まれる新たな熱を、なんと言えば良いのか。


「････っ、中、洗ってやるから･･･」

　鹿本が息を整えながら、そんなことを言って、二人してベッドに沈んだ。


　まだ、自分の中にいる鹿本と、背中に感じる鹿本の体温になぜか満たされた気分になって。


　首筋を這う鹿本の唇を、甘い、と思いながら目を閉じた。

　くらくらするのは、二日酔いだからだろうか･･･。




END

08.05.24






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