鹿本くんと住田くん | ナノ
鹿本くんと住田くん
04
ハァ、ハァ・・・
やたら自分の吐く息が近く聞こえて。
「言えって」
「・・・っ」
グイ、っと前髪をつかまれ、顔を向けさせられる。何度も視線を逸らしても、顔を逸らしても、戻されて。
自分か誰に追い上げられているのか、この手が誰のものなのか、それを確認させるかのように・・・・。
「か、もとっ」
「なんだよ、言えよ」
散々弄られて、ガマンしきれずに滴って、どうしようもないくらい熱が渦巻いているのに、あと少しの所で焦らされて、もう気が狂いそうだった。
「ん、あ、・・・んんっ」
首筋から耳元に、次ぎにその舌は俺の口内を犯していく。息も止まりそうになるくらい・・・・夢中で。
離れた鹿本が俺を見下ろして笑っていた。
「もうダメか?」
目元にやさしく触れながら、そんなことを問いかけてくる。ダメに決まってる。とっくに、ダメだ。
「ん、鹿本っ・・・やだ・・・っ!」
「ヤダじゃねーだろ」
あと少しなのに、もう少しなのに、何度も何度もそんな事を繰り返して・・・
「うぁっ・・・あぁ!・・・も、もう達か、せて・・・っ」
まだ焦らそうとする鹿本に、簡単に恥じらいは消えた。
満足そうに微笑むと、鹿本の手が上下に動き始めて、解放されるという安堵と、やがて来るだろう快感にゾクゾクした。
「あ、あ・・・っ」
快感を堪えるように、掴んだ鹿本の腕を、俺はもう覚えていた。そしてそれさえも快感の一部だとさえ感じてしまう俺はどこかおかしい。
同じ男に、魅力を感じているなんて―・・・
「住田」
「ん、んんっ、・・・あっ、あ!」
快感に、息が出来なかった。
ビクビクと震える腰、真っ白な頭。
一瞬だけ、女だったら簡単に抱かれるのに。なんて考えた。散々、鹿本を求めるのに、変な意地なんて張らないし、欲しいものを欲しいって言えそうだ、なんて。
「また泣く」
「え?」
上擦った声が出た。鹿本の指先がまた目元に触れて、思わず目を瞑った。熱で何も感じなかったけど、どうやらこぼれていたらしい涙。
鹿本の唇が、頬に触れていく。まだ、行為が続くのだと感じるその動きに、未だ快感の渦の中に居た俺はヒクリと喉を鳴らし、腰を揺らした。
「鹿本」
「なんも考えるな。気持良いことだけ追っかけとけ」
それは、どういうこと
男同士だから、そんなこと言うの
何も考えないで、鹿本だけを、鹿本の指だけを追いかけることにした。乱暴に見せかけて、実はやさしい動きをしていることにはとっくに気付いていたし、俺を見下ろしてくる鹿本の視線が、ベッドの上ではやさしいことにも気付いている。
なのに何も考えるな、なんて・・・
無理だと思うんだけど。
「あ、鹿本・・・鹿本ッ!」
「力抜いてろよ」
うつ伏せで、シーツをこれでもかというほど握り締めて、鹿本の指を追いかける。羞恥とか、こうしている理由とか、自分がどうなってるかなんて、何も考えたくなかった。
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