鹿本くんと住田くん | ナノ
鹿本くんと住田くん
02
「二日酔い?スッキリ?」
二日酔い・・・昨日は酒飲んでたから・・・で
スッキリって言うのは・・・・
「う、あ・・・・」
断片的に集まる薄れた記憶。
鹿本の家の階段を滑り落ちた事。シャワーの音。
そして、鹿本の手
・・・・と、トイレ
「ん?あ。・・・・俺吐いた」
「重要なのはそこじゃねぇだろ」
「あはははは・・・・。えーっと、うん。思い出したと言うか、記憶に残ってると言うか・・・で、でもなんていうか俺酔ってたし、むしろ」
また襲われた、と言った方が正しい気が・・・。
「・・・・。」
えーと、無言で微笑まれるほど怖いものはないんですけど・・・っ!
「・・・てめぇ一人だけスッキリして寝てんじゃねーよ」
「それは不可抗力と言うべきか・・・」
ってかそんな事で恨まれても・・・いつも俺が一方的にやられるばっかりだったじゃないか。
「わかってるよなぁ」
「え?」
ワカリマセンガ?
「そろそろお返ししてもらっても良いんじゃねーかな?」
え、何?
何?その優しそうな微笑み。鹿本さんそんな微笑み出来たんですか!?なんて問いかけたくなる笑顔。
「え、え・・・や、ちょっと。」
布団の上にあった手は、するりと中に入り込むと、迷うことなく俺のシャツの裾から入り込んだ。温度の違う鹿本の冷えた手が心地よく感じるほど、布団の中の俺は暑くって・・・。
「ま、待って鹿本っ」
「・・・・十分待たされたけど?」
ま、待たせたつもりなんて一切ございませんて!
鹿本の手から逃れようと身をよじり、そのままベッドから降りようとした所で、後ろから羽交い絞めにするように捕らえられた。
「逃げんな」
グイッとまたベッドの中心まで引き込まれて、押さえつけられる・・・あぁ、なんだか“餌食”になった気分だ。
鹿本が姿勢を下げて、近づいてくる。
くそう、男の俺でさえかっこよく見えてしまうんだから、罪なヤツだぜ!きっとあちこちで女が泣いてるんだ。 罰が当たって禿げてしまえば良いんだよ、二十歳過ぎたくらいから、薄くなってきた髪の毛に悩まされれば良い、きっとそれくらいじゃ償えないだろうけどなっ・・・
って、なんだかひがんでるみたいじゃねーか、俺ッ!
「うひっ!・・・え!?ちょっ、あ」
俺の首筋に触れる、鹿本の舌。
「離っ、・・・あっ!」
口を開けば、自分の知っている自分の声よりも高い音が漏れて、それを押さえ込もうと唇を噛んだ。くぐもった音を出せば、鹿本の舌がより一層攻めてくるのが分かる。
弱みを握られたみたいで嫌だ・・・それだけじゃない、自分の身体は正直だ。ゾクリと走り抜ける快感を隠し通せない。
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