鹿本くんと住田くん | ナノ



鹿本くんと住田くん
06






「好きだろ?」


「う・・・、ダメ」


ベッドの上を這いずり回り、逃げ・・・切れるわけなんて無かったけど。
というか、今までが今までだから、もう今更というか、正直途中から、投げやりに力を抜いた訳だけど。
そんな俺に気付いて笑った鹿本に腹が立った。


「やらせろ。」


「・・・・・ん?」


やらせろって?

いつも勝手にやってんのは鹿本じゃないか。
なんて言葉を鹿本の口で塞がれた。

ただでさえクラクラしている頭なのに、反射的に目を閉じるとますます全体が回っているようで、なお更舌の感触がフワフワした世界へ連れて行く。



「住田・・・分かってんのか、お前。」


「・・・・わっ、かんねぇ」



なんで鹿本が俺にこんなことをするのか。
なんで鹿本が家に俺を呼ぶのか。
なんで鹿本が俺の携帯放り投げたのか。

全てはあの雨の日から始まったことで―・・・




「ん・・・っ!」


肌を伝う舌の動きがたまらなくなり、鹿本の腕にしがみついた。
シャツの上から感じる鹿本の筋肉質な腕とその熱を感じる。


「か、もと・・・やめ・・・」

「やめて欲しいなんて思ってねーだろ?好きだろ、こうされんの。」


服を剥がされ、全ての場所を辿る手のひら。
想像も付かないようなやさしい動きに戸惑った。
鹿本の攻撃的な雰囲気からは想像しないような指先の動き。



「ふんぁ・・・」


熱が上がれば上がるほど目が回る。

気がつけばほぼ全裸な俺に、焦らすように触れてくる鹿本の指。



「な、んで・・・っ」


ヒクリと揺れた腰。

あの鹿本の手がまた俺を翻弄していくんだと思うと期待と、焦燥。


「なっ・・・んん・・・なんでっこんなことッ」



なんで男の俺にこんなことすんの―・・・


熱でどうにかなりそうな視界で鹿本を捉えると、声も出さず、鹿本は笑った。



「とりあえず一回出すか?夜はなげーぞ」



その言葉と同時に、鹿本の手が動きだし、俺はあっけなく熱を放った。

声が出てた・・・と思うけど、俺の耳には全く入ってなくて、酸素を欲しがる肺と、頭に上った熱が徐々に下に下がっていく感覚と共に引き出された頭痛。

クラリ、と視界が大きく動いた、と思ったら・・・。


「・・・・吐く」

「・・・はぁ?」

「・・・・ぅっ・・・」


「ま、まて、待て待て待て待て!」


担がれた衝動で思わず出そうになるソレを残った理性で堪えた。
必死に。

トイレに詰め込まれ、便器に縋りつく俺。
鹿本が後ろで舌打ちしながら去って行った。



スッキリして、トイレの壁にもたれて腰を下ろすと、気分の悪さは無くなったものの、急激に疲労感が湧いてそのまま目を閉じた。





「ほら、水・・・・。おい。・・・おい。ちょ、お前・・・」


揺すっても何をしても沈んだ意識は反応を示さず、静かに吐息をするだけだった。




「・・・・一人だけスッキリしてんじゃねーよ・・・・。」






END


08.04.12





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