鹿本くんと住田くん | ナノ
鹿本くんと住田くん
01
ポケットで震える携帯を慌てて取り出し、届いたメールを眺めた。
しばしの間をおいて、そのメールに返事をする。
「ふふふ〜ん。住田、やったな。」
「がっちゃん・・・」
「なんだその浮かない顔。お前が望むようにできたじゃないか、カノジョ!約束したか?こぎつけたか?デート」
複雑な俺の気持を知ってか知らずか、ガンガンと俺に体をぶつけてそんな質問をしてくる。
「デートの約束なんかしてねーよっ!」
ぐいい、っとがっちゃんの体を跳ね除ける。
がっちゃんの誘いで行った合コンで、見事に女の子のアドレスをゲットして帰ってきた訳だが。
やっぱりというか、初めに思っていた自分の中の恋愛に関して、その子が当てはまるかと聞かれれば微妙なのだ。
とりあえず、頂いたメルアドに一言二言送ったけど、またこのまま自然に忘れ去られるだろうとさえ思っていたくらいで。
なのに向こうからのメールは一日に何度も送られてきて、それに間をおいて返事をする俺。
あぁ・・・こんなの・・・・
恋愛じゃなくない?
俺、全然ノってなくない?
この・・・向こうの押しに無理やり乗ってしまうべきなのか。
乗っちゃえば、楽なのか。
でもそんなの、相手に申し訳なくって。
ぐちゃぐちゃと考えては面倒くさくなってる現実。
目の前に獲物があるのなら、襲い食らいつくのが原始時代からの男の仕事じゃないのか。
飢えてるだろう、飢えているはずだ・・・
飢え・・・・
え。
俺、女に飢えてないのか?
いやっ!んな事は断じてない!
あの柔らかいおっぱいに触りたい、埋まりたい。
柔らかい女性の体に触れたいに決まってるじゃないか。どこを触っても柔らかいはずで、きっと童貞を手放す時の快感と言ったらとんでもないものだ。
・・・ってその辺は妄想だけど、さ。
フルフルと頭を振って送信済みと出た携帯を閉じた。
ズボンのポケットに入れた直後、また震える携帯に・・・
正直、うんざりしたんだけど。
気付かないフリしてまた激しく顔文字満載のメールに視線を落とした。
prev|back|next
[≪
novel]