鹿本くんと住田くん | ナノ
鹿本くんと住田くん
05
こ、こえぇぇよ!
早く目ぇ逸らして、鹿本!頼む。
なのに、そんな願い叶うわけもなく、逸らしてもらえそうにない鹿本の視線を受けてるうちに、俺は鹿本の瞳の奥に吸い込まれていくようだった。
あー白目が結構綺麗。
睫毛よく見ると長いかも・・・。
「ん」
何、何、なにー・・・口がっ!
いつの間にか迫られてたらしく、気付けば鹿本が近すぎて。
食われそうな口づけに、思わず目を瞑った。
・・・のは失敗。
余計に鹿本の唇を感じ取ってしまった・・・。
恥ずかしくって、必死になって鹿本の体を押し返す。
乗りかかって来ている鹿本の体を、持ち上げることなんてできなくて、息苦しさと恥ずかしさと情けなさに目頭が熱い・・・。
鹿本の施しを受けている口に危うく集中しそうになったときに、お腹の辺りを行き来する鹿本の手に気付いて慌てて首を振った。
その動きを抑えるかのように、強い唇の押し付け。
「ん!」
ちょ、マジで食われますっ!
絡まる舌がヤバイ。
ヤバイよっ!!
背中に回った手は、そのまま尻の方まで下がってきて・・・でも、抗うことさえできない今の俺。
手が、鹿本と俺に挟まって動かせない。
「んーーーー!」
太ももまで下ろされたズボンに、足さえも自由を奪われつつあって、俺の頭の中で巡るのは“強姦”の二文字。
あぁ、母さんごめん。
息子は立ち直れないかもしれないよ・・・。
「はっ、あ」
やっと離された唇は、ジンジンと痺れていた。
「やらしぃ〜・・・住田」
「っ!てめっ、退けっ!」
自由になった手は、また鹿本に一つ手にして拘束されて、一難去ってまた一難・・・。
「う、あ・・・っ!」
鹿本の視線、鹿本の口づけは、十分に俺を煽っていた。
握りこまれただけで、フラッシュバックする鹿本との情事。
だてに鹿本で抜いてないぜ!
・・・って違うし!!!
「やっぱ感じてんじゃねーの。俺にやられんの好きなんだろ?」
「ち、ちがっ・・・あぁっ!」
あの、指だ。
自慰ではなんとももどかしくて、足りなかった鹿本の指使い・・・。
そう、思えば思うほど刺激的で、ヒクリと腰が跳ねるのがわかる。
「な?お前抱けねーよ、女。男にヤられて感じてんだから。」
「それはっ!鹿本がっ・・・あぁんっ」
「ふつーは、こんな風に勃たねぇよ。俺で感じてんだろ?」
「ち・・・っ」
違うくない。
鹿本だから感じる。
鹿本の視線が、鹿本の指が・・・っ。
鹿本に触って欲しいって・・・
何度もっ・・・。
「女と寝たところで、お前の方が喘いでそうだしな・・・・」
「―――っ!」
ふっと、握りこまれた両腕を拘束している手が弛んだ。
「泣くなよ」
そんな優しい鹿本の声が、
俺の熱を、涙腺を、煽った。
「泣いてない・・・。」
とめどなく涙が出ているのは分かっていたけど。
「・・・気持ちよくしてやるから、泣くな」
ずるい、ずるいよ・・・鹿本。
そんな風に言われたら、
そんなに優しくなんてされたら。
・・・流されてしまう。
鹿本の迫る唇を、俺は小さく口を開けて迎えた。
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