鹿本くんと住田くん | ナノ



鹿本くんと住田くん
04






二度目になる鹿本の家は、この間と何も変わっていなかった。

玄関にある傘立てには黒い傘が。
入って直ぐのところには学校指定の鞄が。



「上がれよ」


後ろから促されて、靴を脱ぐと鹿本の部屋に入った。
入って直ぐに、DVDをテーブルの上に置くと、俺の用事は終わりとばかりに鹿本を見上げた。


「すわんねーの?」

「や、もう帰ろうかと・・・」

言葉の語尾が消えそうなのは気付かなかったことにしてください。


コンビニの袋を机に置く鹿本の動きを見てたら、袋を置いて離れた手が、そのまま俺の腕を握った。

突然の事で
予想もしてなかったことで

思わず掴まれた腕に力が入る・・・。


「んな怖がんなよ」

「離せよ」


腕を引いたって、鹿本の力は弛まない。

あれ?まずい事になってる気がするよ。
脳内の警報機はうるさいほど鳴り始めてるよ!

ど、どどどどうしよう・・・

冷や汗が吹き出る感じだ。





「合コン、行くんだって?」

「へっ」

「言ってたろ、西垣が。」

西垣ってのは、がっちゃんのこと。

「あ、あぁ。・・・行こうかと」

「彼女出来ると良いなあ?」

「・・・まぁな。」


うん?
案外、世間話?

でもその間も握られた腕を離してもらおうともぞもぞと動いてみるけど、弛む気配は一向にない。




「でも、お前・・・女抱けるの?」


「は?」


意味がわかりません。

なに?確かに初めてのときは緊張で不能に近いとか何とか、挿れてもなかなかイけないとか、女よりも自分の右手の方が気持良いぜ!・・・的な?


「いやーうん、まぁ初めはそうかも知んないけど回数・・・・・おわっ!!」


ぐいっと腕を引かれた力と浮遊感。

直後に背中に感じたクッション・・・


って!


ベッド!


「ちょっ!か、鹿本っ!」


鹿本に掴まれた腕を引っ張られ、ベッドに放り投げられたらしい俺。

腕は押さえられたまま、覆いかぶさってくる鹿本が黒い笑みを向けていた。


「なんつーか、住田が女を組み敷いてるとか・・・想像できねー。」


そ、それって・・・!

・・・男としてどうなんだ・・・。


「つーか、退いて、鹿本」

「お前は組み敷かれる方が似合ってるよ」

「・・・・ど・・・どういう事?」


組み敷かれるって?


・・・あぁ、騎乗位?


そんなのよりも俺は


「や、なんていうかバックが好き・・・・・・え?」


ちょっと待て。
俺のお腹の辺りで聞こえるこの音は・・・・
べ、べ、ベルトッ


「鹿本っ!?」

「お前つくづく呆けてるな。」

「なんでっ、意味わかんねぇ!何してんの、鹿本っやめろっ、やだっ」


空いた方の手を慌ててズボンに持って行き、外されたベルトと開けられたズボンの前を押さえる。


「・・・チッ」

「やめろよっ」


不機嫌そうに睨んでくる鹿本の視線を必死で受け止めた。
ここで目を逸らしたら終わりのような気がする。
負けを認めてこのまま剥かれてしまいそうな気がする。





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