鹿本くんと住田くん | ナノ
鹿本くんと住田くん
01
「住田!来週末空いてるか?」
昼飯を食べ終わって、机にうつぶせてうたた寝なんぞしてたら、彼女に会いに別のクラスに行ってたがっちゃんがそんなセリフで帰ってきた。
「んぁー・・・来週末ぅ?」
「寝ぼけてんじゃねーよ、住田が言い出したんだぞ、合コン!」
「えぇ!マジ?もう決まった?」
「おうよ、まぁ俺と香奈も居るけどなー」
「なんで彼氏彼女で参加だよっ。しらけるだろッ」
香奈ちゃんは言わずもがな、がっちゃんの彼女。
二つ隣のクラスで、がっちゃんとは中学から一緒で、高校入ってめでたく結ばれたとかなんとか・・・
「香奈のツテで女集めたんだよっ、香奈以外は女子高の子だぜ?」
「まままままじ・・・?」
「マジ。」
「ありがとう、がっちゃん!俺がんばるよっ!」
ぎゅっとがっちゃんの手を握り振り回す。
持つべき者は友達!素敵だ、がっちゃん!
俺は今回絶対に彼女を作るっ!
気持がとか、そんなのも大切なのは判ってるけど、とりあえず男として、一皮剥けるのだっ!
「ちょ、だから、週末空けとけよ?」
「金曜?土曜?」
「香奈が今皆に聞いてるトコ。男の面子はお前も知ってるいつものメンバーだし、日が決まればバイトよりも合コン優先だろ?」
にやりと笑うがっちゃんに、俺も「もちろん」と目で答えた。
もう、鹿本で抜いたりしないように。
思い返しても、泣けるよ俺。
借りた、というか強制的に持たされたあのDVDは結局一度だけ見て、最悪な自分に泣いてから一度も開いてもいない。
黒い袋に入れられて、引き出しの二番目にしまわれいる。
開かずの扉となったその引き出し。
“また返しに来いよ、家に”
くそっ、二度と行くもんか。
もう、鹿本と絡むのも最後だ。
今まで喋った事もなければ、少し親しくなったように感じたのに、やっぱり学校では会話なんて交わさないのだ。
お互い、初めから仲良くなれるタイプなんかじゃない。
鹿本だって自分と色の違う俺をただの玩具程度にしか思っていないんだから。
わざわざ自分から身を捧げに行くようなマネ・・・したくない。
次、鹿本に何かされたら俺、本気で号泣してしまう自信があるよ・・・情け無いけど。
それくらいにチェリー心は傷ついたんだッ!
・・・・。
ちょ、自称チェリーって・・・。
「住田?」
「がっちゃん・・・ちょっと胸貸して」
「なに、どうしたんだよっ、なに泣いてンの!?おいっ」
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