鹿本くんと住田くん | ナノ
鹿本くんと住田くん
02
「がっちゃん、合コン誘ってよ」
「どうした?急に。住田から言い出すって珍しい・・・」
「彼女、欲しくなった」
「・・・いつも周りには女寄ってくるのに気付かないのは住田だろ?アド交換したって続けねぇし・・・」
自業自得だと言われた。
そんなつもりはない。
今までだって何度も彼女がほしいと思っているのに、アドレス交換して、しばらく続けて、デートももちろんするんだけど・・・
いざ、彼氏彼女になると思うと何かが違う、と思ってしまって。
断った事も数回。
なかなか手を出さない俺に痺れを切らして去って行った女が多数。
ちゃんと気持が付いて来た恋愛が・・・無い。
がっちゃん、それでも俺は「今」無性に欲しいのだよ。
女ってそんなに気持良いのか知りたいのだよ。
だからって、きっと抱くだけの女が欲しい訳じゃないんだと思うけど。
がっちゃんや、鹿本みたいに・・・隣に居ても自然な感じで相手が欲しい。
あれ?羨ましいだけ?
一人な自分が惨めに感じてるだけ?
「んじゃー何かあったら誘うわ。ちゃんと今度は女持ち帰れよ?」
「お、おう。」
がっちゃんの携帯が鳴った。
きっと彼女だ。
がっちゃんは彼女居るのに合コン行くんだな・・・。
のくせ結構彼女とラブラブだからおかしな話だ、俺に少しくらいその女運が回ってきてもいいもんなのに。
感染しねぇかな?
女集まる菌!みたいな。
がっちゃんが彼女との電話に夢中なのをいい事に、俺は先に帰宅する事にした。
どうぜ彼女と一緒に帰ってイチャイチャするに決まってるんだ。
くそぅ!どいつもこいつもっ!
ガコンッ!と音を立てて上履きを下駄箱に放り込む。
靴を履いて、顔を上げたら、鹿本が立ってた。
見ただけで、鹿本の香水が漂ってきた気がする。
肩をぶつけて来て、俺の胸元に何かを押し付けてきた。
「?」
訳も分からず、その黒い袋を受け取ると、鹿本はニヤリとしてポケットに手を突っ込んだ。
「ソレ貸してやるから。また返しに来いよ、家に。」
前にもそんなセリフを吐かれた記憶が・・・
「タツヤ〜行こうよぉ」
出入り口に立つ、超短いスカートに鞄にはなにやらジャラジャラつけた派手な女がこっちを見てた。
昼の、女だ。
そんな甘ったるい声の方に向かう鹿本。
「ちょ、何コレ!?」
俺の声、聞こえてるはずなのにやっぱり無視。
なんだよっ、そんな甘ったるい声の派手女のどこに魅力を感じるんだよ!
・・・・ってなに変な嫉妬してんだ、俺。
鹿本の腕に手を回し、校舎から出て行く二人を見届けなから、がさがさと袋を開けてみると。
「――――っ!か、もと・・・」
慌てて鞄につっこんだ。
中身は、あの時鹿本の家で見た
先輩のハメ撮りDVDだった。
prev|back|next
[≪
novel]