鹿本くんと住田くん | ナノ



鹿本くんと住田くん
01






あんな


あ、ああんな事が・・・


え、あーー、コホン。



あんな事があったのに。



学校での鹿本は俺の事「無視」なんですけどっ

いや、うん。
そういう性質だって分かってるつもりだけど。
俺からも絡もうとも思わないし。

でもあれって、何度も思い返しては恥ずかしくなって。



なんていうか・・・

自慰してるときも実は・・・

ちょっと鹿本がよぎったり、よぎらなかったり・・・



「だぁっ!」

「わぁっ!なに急に、住田。」

「あぁ、わりぃ何もない・・・」


食後のマンゴーオレをストローで吸い上げる。


悶々としているのは俺だけ、きっと。
鹿本からしたらちょっとチェリーくんを相手に遊んでからかってやっただけ。

分かってるんだけど、さ。

忘れられない俺って何さ?


「住田・・・大丈夫か?悩んでるなら聞くぞ?」

「がっちゃん・・・ううん、ありがと」

がっちゃんは優しい友達。
言えたら・・・いや、言えない、絶対に。

だってあんなこと!

いや・・・もしかしたら、がっちゃんも実は友達と抜きあったりしてるかもしれない。
俺の知らないところで。

俺の知らない・・・?

おれハミか?
チェリーくんは仲間に入れてもらえない会なのか?

・・・・泣けてきた。


「す、住田!?」

「がっちゃん、こんな俺でも友達でいろよ?」

そのうち絶対女抱くから!
その時は俺も仲間に入れてくれ!

「最近住田おかしいよ?」

「うん、ごめん。冷静になってくる。」


席を立つと、ゴミ箱に空になったマンゴーオレのパックを捨てて教室を出た。


トイレで用を済ませ、また教室に戻ろうとした所で、鹿本に会った。
正確には鹿本がつるむ集団、約5名。
バラバラに行動してみたり、たまにこうやって集団となってみたり。
集団の時は誰もが近寄りがたいんだけど、今日は中に女の子が居て・・・。

その子が鹿本の腕に手を回してるのを、視界の端で確認した。


学校での俺はいたって普通で。
鹿本とは話したこともなくって、同じクラスかどうかも認識されてるか分からない、そんな存在。
のはずだ。

その集団の脇を、すり抜ける。

俺も鹿本を見ない、鹿本も俺を見ない。

それが当たり前で、普通。


なのに・・・


なんであんな事になったの

なんで?って聞いてみたいような、聞いてみたくないような。

「タツヤ、今日行っていい?」

そんな甘ったるい声が後ろから届く。

タツヤ・・・タツヤ・・・

鹿本竜也。
そんな名前だったな、とぼんやり思う。

きっと鹿本はあの女と今日はイチャイチャするんだ。
俺のことなんて忘れて、あの家で。

あのDVDみたいな事、するんだ、きっと。






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