鹿本くんと住田くん | ナノ
鹿本くんと住田くん
03
じっと、鹿本と見つめあう・・・・。
そうそう、この目に睨まれると動けなくなるんだよな。
鋭い目だけど、目は凄くキレイなんだって、今気付いた。
整った顔・・・この顔で迫られたらその気が無くても抱かれ・・・
って、違ーーーーう!
そうじゃなくって!
テレビからは断続的に聞こえる喘ぎ声と、耳をつくいやらしい水音。
一瞬、テレビに目を奪われそうになったけど、そんな俺がどう動くかを楽しそうに見ている鹿本に気付いて、俺も逆に鹿本から目を離せなくなってしまった・・・・。
まるでにらめっこだ。
「・・・見ねーの?抜いていいよ?なんだったら手伝うか?」
「い、いらねぇよっ」
なんで、そんなに関わりのない鹿本とこんな話しをしているんだ。
明らかに面白がってるだろう!?
・・・・もしかしてイジメの一貫?
俺イジメられてるのか?
なんか気の触ることしたのか?
変に目付けられて、あの車で山の中連れてかれて置き去りとか・・・えぇ!まずいよ、それは。
俺まだまだ生きたい・・・
「住田」
「は、はひっ!」
バクバクと高鳴る胸。
助けて、なんてそんな情けない事言えないけど、言わなきゃ生きて帰れないかも・・・。
「お前、その様子じゃろくなキスしてねぇだろ。」
「え?キス?何、キスって一つしかないじゃん」
「キスってのは、口開けて、舌出して・・・」
「へ、ほう?」
え、こう?
と、いわれるがまま、口を開けて舌を出してみる。
キスなんて唇が合わさればとりあえずはキスだろう?
舌なんか出しちゃったらディープキスじゃん。
と思ったときには遅かった。
チュ、と音を立てて俺の舌は鹿本の口内に吸われていった。
その直後に絡められた鹿本の、舌。
「んんーーーー!?」
なんでっ!
なんで鹿本!
何を血迷った鹿本!
いじめにしては自分を犠牲にしすぎだろ!?
なんとか引き剥がさないと・・・
あぁ、でも未知なる世界・・・・
舌ってこんなに柔らかいんだ。
鹿本の香りが、近い。
テレビのいやらしい水音に重なるように、自分の皮膚を通じて伝わる、自分と鹿本が出している水音が鼓膜を刺激してくる。
「―っは」
やばいやばいやばい
舌が絡まっている時間が長くて、どんどん流されそうになる。
熱が、上がる。
あぁ、やばい・・・勃ち、そ。
もう理性なんていってられなくって、押しのけようとしていた手はしっかりと鹿本のシャツを握り締めてて、鹿本も俺が押しのけるのを意地でも押さえ込んでいた腕は、いつからか柔らかく俺を抱きこみ、背中から手が差し込まれていた。
大きな手のひらが背中を直にさすっていく。
辛うじて勃たないようにと必死に堪えていたのに、テレビから聞こえていた音声が終わりを告げるようにと激しい声と音になったことを意識してしまって、あっさりと本能のまま頭をもたげた。
鹿本に・・・バレるよっ!
そんな羞恥がますます俺を煽って・・・。
鹿本の手が、俺のズボンのベルトに掛かったのが分かって、慌てて鹿本の手を押さえるも、俺を開放した鹿本の唇が、耳朶に触れてくる。
「・・・・苦しいんだろ?」
「う、あぁっ」
耳に響く声にやたら感じた。
鹿本の声から開放されようと身をよじった。
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