鹿本くんと住田くん | ナノ



鹿本くんと住田くん
02






「一人暮らし?」

「あぁ・・・伯父さんの店舗だったんだ。取り壊す前に俺が学校通うために2階だけ借りてる。・・・その辺、適当に物どけて座って。」


鹿本の部屋はキレイに片付いているんだけど、床に広がる雑誌なんかの量が多い。

その一部を適当に重ねて隅に置くと、そこにできたスペースに腰を下ろした。

「ん」

「あ、ども・・・」

渡されたのはペットボトルのコーラ。

なんていうか、何話せばいいのか全くわからない。
チラリと鹿本に視線を送れば、俺のことを気にする風でもなく、一冊の雑誌を取り開いていた。



「・・・・」

コクリとコーラを一口飲む。

「・・・・」



用件も済んだし、帰りたいんだけど・・・・。


何とかこのコーラを飲み干して、帰ることを伝えるしかないのか・・・。
背にあったベッドにもたれかかる。
指先に触れた雑誌に目をやると、車の雑誌。
鹿本もあんないかつい車・・・乗るつもりなんだろうなぁ・・・でも、似合ってるかも。
変に軽自動車なんて乗ってても似合わなさそうだ。

その車の雑誌を手に取り、これをネタに会話を・・・と思ったら。


その雑誌の下にあった物に言葉を失った。


明らかに“裏”らしきエロDVD・・・


きれいに作られているが、市販されている物じゃなくって、手作り感たっぷりのソレ。
よく見れば一枚だけじゃなくって、何枚もベッドの下から覗いていた。



「貸してやろうか」

「わぁぁぁぁ!」


「・・・・くっ、そんなにビビんなって。」

「や、いい、要らない。」

「チェリーくんには刺激がつえぇかもなぁ〜」

そう言われて鹿本から視線を外せば、先ほどのDVDのジャケット。
そこにはモザイク無しの女性の・・・・

「――――っ、チェリーチェリーうるせぇよっ!」

「へぇ。じゃぁ見てみる?きっと何かデッキに入ってんぞ。昨日先輩来て新作だって見てたからなぁ」

そう言ってリモコンを手にする鹿本の手首を慌てて押さえた。

「い、いいって!」

「なんで」

「なんでって・・・・」

そんなん見て勃ったらどうすんの!


「・・・チェリー君。」

「っ!やめろって!」

「・・・住田、お前キスくらいはあるだろ?」

「な、何を急にっ!・・・・。・・・・それくらい」

「嘘付け」

「うそじゃねぇよっ」

「ふーん、じゃぁその子とは・・・まだエッチして無いって事か」

「なんでそんな事聞くのっ!」

なんなんだ、鹿本。
面白がってるとしか思えない・・・。

俺が下を向いている隙にテレビのスイッチの入った音がして慌てて鹿本を見上げると、すっげぇ意地悪な笑顔を返された。

「今入ってるDVD、先輩のハメ撮りかもな・・・」

「え。えぇっ!」


そんなの、そんなのっ!

ってか、鹿本もそんなの撮ったり・・・してるのか!?
んでもって先輩に回したり?えぇ!?


頭の整理もつかない間に、テレビからはAV女優が見せるような物じゃなくって、薄暗さや声のトーンがリアルだという事を物語っている映像が流れ始めた。





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