鹿本くんと住田くん | ナノ



鹿本くんと住田くん
02








「わぁっ!」


「・・・・」

「な、な、なにっ、鹿本・・・」



どれくらい、沈黙の中立っていたのか、次ぎにアクションを起こしてきたのは鹿本の方からだった。

急に首筋に触れた、冷えた鹿本の指先。



「住田、濡れてる・・・」

「う、ん。」

だから・・・さっき濡れたって言ったじゃん。


視線を鹿本にやると、じっと見られていた。
その視線が・・・痛くって。


なんていうか、本当にきつい視線。
ガン飛ばす・・・っていうのか、目の形もそうなんだろうけど、目力?

それでも・・・・怖いとは思わないのはなんでだろう?

あれだけ学校じゃ近づく事を恐れて、あえて避けるように生活してたけど・・・・
こうやって近くで見ると案外怖い人ではないように感じて。


「寒くねー?」

「え?うん、まだ大丈夫・・・かな」

これ以上雨が止まないようなら時間も時間だ、どんどん体は冷えていくだろうけど。


鹿本の指が、俺の腕に濡れて張り付いたシャツを引っ張りはがす。
一度はがれてもまた濡れたシャツは腕に張り付いて・・・それを繰り返し・・・


って何してるの、この人何度も・・・。



「か、鹿本?」

「濡れたシャツってエロいな」

「えぇっ!」

「こう、なんていうの風呂場で無理やり押し込んで襲ってる感じ?」



も、妄想ーーーー!?



鹿本が一体どんな人間なのか・・・わからない。



「か、鹿本・・・階段から降りてきたけど・・・誰かの家?」

「ん?俺んち」

「え、えぇ!?なんでこんなトコで雨宿り!?」

「んー?俺の部屋でダチが女とやりだしたから出てきた。」

「・・・・・あ、そ」

ってそんな事って・・・あるのっ!?

「・・・住田、顔真っ赤」

「―――っ!」

「もしかしてチェリー・・「わぁぁぁぁぁ!」

慌てて鹿本の口を押さえると、一瞬鹿本の目が開かれて、すぐにそれは細められた。

抑えた手を取られ、そして鹿本の唇の隙間から出てきた舌でねっとりと舐め上げられた。

「―――っ!なっ、なにっ」

腕を引いても離してくれない。

「可愛い。食べちゃいたい。」

「か、か、鹿本っ!からかうなっ」

あっけなく離された手は勢いよく戻ってきた。


「からかいってバレたか・・・住田は案外本気にしそうなタイプだと思ったんだけど。」



―――――ほ、本気にしたよっ!


なんなの、やっぱり鹿本のようなヤツの仲間はそんなノリで出来上がってるのだろうか。
人ん家で盛っちゃうくらい・・・・。


「鹿本、傘くらいもって降りてきたら良かったのに・・・」

「んー、迎え来るからいらねぇ」

「あぁ、そう。」

つうか、傘貸してくれたりって・・・・ないのか。

「・・・・」

「・・・・」

ないんだな。


またざぁざぁと雨が降りしきる中、俺はアスファルトに打ち付ける雨を見つめ、鹿本はまた携帯をカチカチといじりだして時間が過ぎていった・・・。





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