僕をよろしく | ナノ
僕をよろしく
01
人って平等にできている
そう信じて生きてる
自分が死ぬ時に
人生を思い返してみれば
きっと
辛い事、苦しい事
嬉しい事、幸せな事
どちらも50パーセントずつだって・・・
――― 僕をよろしく ―――
僕、田嶋 椿(たじま つばき)がこの春から通い始める学校は、全寮制の男子校。
ここを選んだのは出来るだけ遠くの土地で寮に入れればそれでよかったから・・・。どういった校風だとか、そんなのは関係なかった。
僕は特別頭が良いわけでも、スポーツが出来るわけでもないから“お金を出せば入れる”というそんな学校でもあるけど、それなりに気品も必要とされる坊ちゃん校だった。
そんな僕だって、一般的にはお金持ちと言われる種類に分類されるのだろう。たまたま僕が生まれた家がお金持ちだっただけ…。僕自身お金に対しての執着とかは無いけれど、それは所詮家にお金があるから言えることかもしれない。
実際そのおかげでこの学校に入学することが出来たわけだし、今までの生活にも何不自由したことが無かった。
お金があるから。
僕はチビで暗い。
顔だって至って普通で勉強だって特別何が出来るわけでもない、運動だって苦手だ。社交的ともいえなくて、人付き合いも苦手。そんな僕でも、今までイジメらしいイジメに遭わず、中学校ではそれなり周りに人が集まっていた。友達だってそれなりに居た。
だけど・・・今思い返せばうまく使われていたのだと思う。
食事に行けば財布を忘れたという仲間に僕がお金を払い、仕事で家を空けがちな両親を知ってか、僕の部屋は彼らの溜まり場と化した。
その中に僕が居た所で、ずっと違和感があったのに、気付かないふりをし続けた。
そんな現実を変えたくて。僕のことを知っている人が居ない高校を選んだんだ。
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