僕をよろしく | ナノ
僕をよろしく
18
「ねぇ・・・っ、やめよ? 寮まで―――んっ」
裾から入ってきた手は胸の突起を引っかき、それだけで言葉は喘ぎに変わっていく。
どうしても、森岡はここで僕を抱くつもりなのだろう。
愛無なんてそこそこに、あっという間に僕のズボンに手が掛かる。抵抗なんてあるようでなくって、森岡が早急に僕を抱こうとしているのが分かる。
徐々にほぐされていくソコ。
そして、僕。
諦めて・・・流される、僕。
「身体は・・・・覚えているみたいだな」
「ん、くぅっ・・・」
「もう勃ってる・・・こんなトコでやられるの好きなんだ?」
「ち、ちがっ!! ―――んっ」
耳元で聞こえる音が、ゴムの封を開ける音だった。一つを僕に、もう一つは森岡が付けると僕の足が森岡によって抱えられた。
「汚れたら面倒だからな。・・・声、抑えて。」
あてがわれた瞬間に緊張が走った。それでも森岡の腕の力は弱まらず、ぐい、と押し入ってくる感覚。
「っう、――――んんっ!くっ」
慣れない圧迫感に唇を噛み締めてみては、細く息を吐いてみたりと痛みを逃がす。痛みに細めた視界から見えるのは教室の天井と、僕の首に顔を埋めている森岡の髪の毛。
金色の髪が教室に差し込む夕焼けに照らされて、キラキラと、そして燃える様なオレンジ色に。
焼け付くような下半身と、脳。
熱に浮かされるように何度も森岡の名前を呼んだ。
「も・・・・っあ、あぁっ」
「あぁ、いい・・・っ、ヤバイ・・・」
徐々に強くなる森岡の動き、体内の雄々しい熱が、最期を伝えてくる。
「やっ・・・待って・・・あぁっ」
まだ、まだ。
そのままで、そのままで僕の名前を呼んで欲しい
確かな何かなんて求めないから
今だけ、一度だけで良いから・・・身体を体温を感じている時だけでも求めて欲しい
呼んで欲しい
僕の名を
◇
夕焼けに照らされている教室で、座り込んでオレンジ色の光を見つめた。
森岡は済んだ後も僕に触れていてくれた。それでも掛かってきた携帯に出ると、呼ばれたと言ってそのまま僕を置いて去って行った。
最後まで、情事の最中に僕の名前は呼ばれなかった。
肌を合わせれば寂しさも紛れると言った森岡。だけど、触れ合った肌は温もりを知ってしまった肌は・・・ものすごく今を寂しく感じさせる。
そんな風に感じてしまうのは、こんな教室の床で抱き合って・・・疲れたせいだろうか。
自分が座り込んでいる教室の床に触れ、息を吐くと立ち上がった。背中が、腰が痛い。それでもちゃんと寮まで戻らないと。
本当はもう少し休んでいたいけど、空き教室だと誰にも見つからずに寝てしまったりなんかしたら大変だ。校舎からは取り敢えず出ておかないと鍵を閉められてしまう。
と、その教室を後にした。
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