僕をよろしく | ナノ



僕をよろしく
17






 それからというもの、部屋でも森岡と顔を合わせることが無く部屋に戻ってきているのかも分からない日々が続いた。
 教室で会っても会話どころか目を合わせることもない。

本当に気に障ったのだろうか・・・



 廊下を歩いていると、視線を向けられたりと言う事がここ数日減っていて、やっぱりあんな噂はあっという間に忘れられるのだろう。それでもまだ多少は興味で僕に視線を送ってくる人もいるけど、前ほど気にもならなくなってきた。

 佐古のように面と向かって何かを言ってくる人もいなかった。佐古だってあれから僕の前には姿を現さなくって、ちょっとした忠告程度だったようだ。

 やっとこれからスタートなのかも、ちゃんと友達も作ろう、ってそう思えるのに。結局今日も誰に声を掛けることも出来ず一日を一人で過ごしてしまった。

 寮に帰ろうと廊下を歩いているところで、肩を叩かれて振り返る。


「森岡・・・」

「よ、ちょっといい?」

「・・・うん。」

 ちゃんと森岡に嘘をついたこと謝らないと。訳を話さないと。

 少し先を歩き出した森岡の背中を見つめながら、どう説明したらいいだろうかと考えながらついていく。








「ね、ねぇ・・・なんでこんなとこに?」

 森岡に連れてこられたのは空き教室。

「人に聞かれちゃマズイだろ?俺と一緒のところ見られないほうが都合いいんじゃないの?」

「え?・・・あ」

 やっぱり、この間の僕の言葉を聴いて不愉快だったんだ・・・



「森岡っ!こないだの事は・・・ごめ――――っあ!」

 扉を閉めた森岡を振り返りながら謝ろうと口を開いたところで、森岡の手によって床に押さえつけられた。

「も、森岡!?・・・ごめん、この間は―・・・」

 そんなにも森岡を怒らせたのだと、焦り慌てて謝罪の言葉を口にする。なのに見上げた森岡は口角を上げて僕を見つめるばかりで・・・


「何、こないだの俺とは“寝てない”発言に対する謝罪?・・・そんなの、どうでも良いよ」

「え?怒って・・・」

「何で怒るの、意味わかんねぇ。どこのどいつが“誰々と寝ました”なんて公言するんだよ。それに椿がなんて言ったところで俺と寝た事実には変わりないだろ?身体もちゃんと・・・・な。」


「っ!」


 森岡が僕の首筋に唇を落とし、ネクタイが緩められる。這う舌の動きが、僕を煽っているのが分かって森岡を跳ね除ける。


「待ってっ・・・!」

「大声出したら誰か来る。いいの?鍵閉めてないし」

「―――っ、な、んで。ここで・・・部屋、戻ろうよ?」

「抱きたい時に抱きたいから」

「何言って・・・」

 寮なんて歩いて15分。誰からも邪魔されないし、誰の目につくこともないのに・・・。


「学校って興奮すんだよ?」

「や、ヤダっ・・・」

 森岡の舌にゾクリと駆け上がり、熱を持ち始める自分の身体を恨めしく思った。そして、思い出すのは初めて抱かれた時の森岡の熱。

 僕は自分の声を手で押さえるのに必死、そして森岡は抵抗する僕の服を脱がすのに必死になっていた。


「んんっ!」

 ボタンを外すのがもどかしかったのか、シャツの上から胸の突起を舌で刺激されて、伝わってくる舌の熱さに身体が震えた。

 それを森岡に感じ取られたらしく、くっと笑ってシャツの裾から手が滑り込んできた。






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