sunny place | ナノ
sunny place
06
12月に入ってから、東間の友達との付き合いが増えたのもあって俺の方が先に帰宅することが多くなっていた。
先に帰宅してしまえば、さっさと風呂を済ませて布団にもぐりこむと仕事の疲れで眠ってしまう。
それでも、東間の帰宅も気になって、何度か目覚めることもあった。
そして、隣に感じる温もりに安堵して、また眠りにつく。
あとは朝起きて、こっそり布団から抜け出す時に東間の眠っている顔を拝む程度で・・・・
・・・・会話が極端に減っていて。
隣で眠っていてくれるだけで
隣で温もりを感じているだけで
俺は幸せだから。
なんて・・・思っていたのは、ついこの間なのに。
幸せに浸り、慣れてしまったのかもっともっと・・・と東間を求める、俺の中の声。
東間と一緒の大学に行っていれば、いつでも一番近くに居れるのに。
なんて―・・・、無い物ねだり。
ずいぶん昔に、忘れてしまったそんな感情を、東間によって引き出されて、醜くなってしまう。
もう、あの頃のように自分の感情を切り離すことが難しくって、それだけ東間に甘えて生きているんだと再確認させられて。
起きる気配のない東間の頬に、そっと手を触れて
指先から温もりを感じて、それが消えないうちに仕事へ向かうべく外へ出た。
何度も、何度も休んでしまいたい、と弱い自分が顔を出すけど新人の俺の有給なんて知れてるし、何より覚えることもまだまだたくさんある。
休んでいる場合じゃないし、もう少しすれば正月休みもあるんだからと。
働くことでも感情をごまかしていた高校の頃からの経験からか、会社に着いてしまえば逆に考えずに済むと、ホッとするくらいだった。
そして、仕事を終える時間が近づけば、東間が先に帰って居るかどうかを考えて、緊張さえしてしまう。
どこか
体の・・・心の奥底で
東間が離れてしまうんじゃないかと
そう考えて
そんな不安が拭えなくて
何度大丈夫だと言われても、言い聞かせられても
これはもう、きっと俺から切り離せない思考
東間が居れば大丈夫だと、そう思っていた事よりも、もっともっと深いところで根付いて離れない。
そして、自分が傷つく前に逃げてしまうクセ。
自分の家が見える頃には、何も考えないようにと意識をそらして。
一気に部屋に入り、淡々と寝るまでを流れ作業のようにこなして布団にもぐりこむ。
何も聞こえないように、何も見えないように、しっかりと布団を自分に巻きつけて。
そしてやっと息が出来るような、防御で抵抗で、俺だけの小さな布団の中の暗闇の空間。
東間には、知られたくない、気付かれたくない。
俺が勝手に弱くなっているだけ。
きっと年末だから色々あるんだ。
バイトだっていつもよりも多く入っているみたいだし、東間にだって自由に生きる権利がある。
俺の保護者でも、家族でも・・・・ない。
ちゃんとベッドに寝ているのに、円を描いて落ちていくような感覚。
そして、そのまま眠りの世界に吸い込まれていく日が続いた。
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