sunny place | ナノ



sunny place
01





「ヤダ」

「ッ・・・我が儘言うなよ・・・」

「こればっかりは譲れねぇ」


家にこたつが来てからと言うもの
猫のシロはこたつに入り浸り・・・。

そんなこたつの上に置かれたのは一枚のチラシ。

その一枚のチラシを巡って押し問答が繰り広げられていた。かれこれ・・・一時間もの間。


「時間の無駄だって、この際やめよう、別のにしよう」

「そんなの意味がない」

「恵生・・・・おまえそんなに頑固だったか?」

「――――・・・」


(初めて、東間と過ごすんだから、頑固にもなるよ。)


「じゃぁ、良い。東間ので良い。」

「拗ねんなよ。」

「拗ねてねーよ!」

この目の前で膨れっ面で座っている恵生を抱きしめたい衝動に駆られるが、今そんなことしたらもっと臍を曲げかねない・・・



なんて事ない。
俺らの言い争いの原因は・・・


クリスマスケーキ だ。


くだらない、なんて思うかも知れないけど俺は絶対生クリーム派。恵生はクリスマスはチョコが良いという意見。生クリームは誕生日に食べたいんだと・・・

そして二人で過ごす、初めてのクリスマスだからホールで買うと言って聞かない恵生。

滅多に我が儘も言わない恵生だから、譲ってやりたいところだが、ホールでチョコは勘弁してくれ、ってのが俺の意見。ガトーショコラとかならいけるんだけどな・・・

ホールなんて・・・・食べきれるワケないじゃないか。
ただでさえ、食の細い恵生だ俺が片付けるのは目に見えている。


「恵生、もうやめようこの話しは。まだ時間もあるしな。」

「わかった。」

お、素直だ・・・と思いきや、眉間が寄ったままな所を見ると納得はしていないらしい。

思わず噴出しそうになるのを堪えて、恵生の座っている傍に寄る。

「仲直り、な。」

そう言って無防備な首筋めがけて顔を寄せ、ぺろりと舐め上げる。

「わっ、馬鹿っ」

びくりと飛び上がり、俺の方を向いた恵生の唇までも頂いておく。


ケーキなんて、どうでも良いのにな。
恵生と過ごせるクリスマスなら、何でも良い。

バイトも休んで、朝から恵生のためにたくさんの料理を用意しよう、と思いながら恵生の舌を絡め取った。





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