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sunny place
22






「何言ってるんだ?廉・・・」

「っ、ご、めんなさい・・・」


「廉?」



秋吉の、胸を跳ね除けようとして、握ったスーツ。
離さなくてはと思う思考と
離れたくない気持

気持のまま・・・力いっぱい引き寄せて、頭から秋吉の胸にうずまった。


「俺は―――・・・あんただけじゃない、他の男も知ったっ。あんたじゃなくても、イけたっ!たくさん、たくさん・・・っ、知らない男の咥えて、飲んでっ―――っ!もうっ、綺麗な、あんただけしか知らない体じゃないっ、淫乱で、どうしようもなくって、金より、からだのほうがっ・・・・、っ・・・」


「廉・・・」


「だ、から。もう・・・資格ない、あんたに想ってもらえるような、あんたの隣に並んで良いような・・・っ、き、たな・・・い。汚いよ、俺っ!体使って、抱かれて、抱いてっ・・・ほんと、ご、めん。」


消せない、消したくても、消せない事実。


黙ってれば誰にも気付かれないけれど、俺だけが知ってて、俺が何よりも許せない事実。


心も体も穢れた事実。



「・・・・傷、そこまで傷つけたのは俺だろう?」


必死に、頭を振った。

秋吉はきっかけに過ぎない。

どれだけ傷つけられたって、最後の一線を越える選択をしたのは俺自身だから。


「違う事なんてない。俺だ。俺が・・・・」

「ヤダっ、あんたは・・・関係ない・・・」


「関係なくない!自分を責めすぎだ。十分だ、廉が傷つくのはもう、良い。」


荒げた秋吉の声を初めて聞いた。
いつだって、冷静で、大人だった秋吉。


「俺に、その責任もとらせてくれないか?俺の事、嫌じゃなければ・・・。・・・・廉?廉の為に、こっちに戻ってきたって・・・言って、信じてくれるか?」

「――――」


「本社に、支社での勤務を申し出て、もう一生こっちに勤める。廉が俺の事を恨んでいたなら、それでも俺は良いと思ってた。いつか、街中で出会う事があれば、それだけでも良いと思ってたのに・・・・卒業式に押しかけるなんて事して・・・」


「そんな・・・決断・・・」


簡単なことじゃない。


「最終目標は支社長だ。」


ふわりと笑う秋吉に、また涙が溢れて。
馬鹿みたいに、泣いて。


「なぁ、廉。また俺たち始めることできないか?仕事人間だけど、今度は恋に失敗したくないと、臆病になってる俺とで。」



「き、たないよ?俺・・・」


「汚くなんてない。綺麗だからこそ傷つくんだ。そうさせたのは俺なんだ。廉が・・・俺に飽きるまでで良い。」


「そんなっ・・・!」


「それくらい、どうしようもなく廉が欲しいんだ。飽きたら捨ててくれて良い。どうせ俺はお前よりも先に老けて、魅力なんて感じなくなる。・・・もしかしてすでにそうか?」


「ば、馬鹿・・・・」


こんなに饒舌な秋吉を知らない。
いつだって気取ってて、クールで、何考えてるかわからない人だった。
必死に、俺を捕まえてくれようとして、必死に自分の考えをぶつけてくれて・・・。


「すまない・・・・大人気ないか?返事は今じゃなくたって良いんだ・・・今は、会えた事が嬉しい。話、できる事が幸せだから・・・」


「う、れしい・・・あんたの考え、聞け・・・て。」


「みっともないな」


笑うあんたを独り占めしたいって、思っても良いんだよね?
我が儘になって、あんたを求めてもいいんだよね?




「憲司さん、好き・・・だ。もう、俺の事・・・離さないでっ・・・あんなのは、もう嫌だからっ。」


「あぁ。・・・何でもして償う。」


「じゃぁ・・・抱きしめて、キス、して。俺を・・・求めて。」


「あぁ・・・」



優しい、優しい、抱擁とキス。

いつまでも続きますようにと。











「好きだ、廉」












秋吉の指に、光るシルバーを見た。





END


2007.12.03-2007.12.23 





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