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sunny place
12





それからは櫻田に以前の嫌がらせのメールとは別に、ちゃんと自分の携帯から甘い言葉を送る。

俺のものにはならないだろうと、わかっている。

何かが違うと判っているのに、止められないでいた。


どこから、いつから、俺は狂ってしまったんだろう。




その日も、担任に雑用を任されれ職員室へ行くと担任が愚痴をこぼした。
進路が決まっていないのが櫻田だけだと。

俺は・・・親の決めた大学に進む事を決めていて、そんな周りが次々に進学を決めているのに、櫻田だけは進学するつもりもないのだろうが、就職にも意欲を見せないと、そう担任が苛立ちを露にしていた。

そして、今日話し合いをするということを、聞いたのだった。



櫻田が職員室に呼ばれているであろう時間を、開くことのない屋上への踊り場で潰した。


もう、どのくらい。
自分の気持が消化されず、つもり積もっているのか。
原因が秋吉だと言うことも嫌って言うほどわかっている。
きっとアイツと話しをしないとどうにもならないのだろうかと、不安になる。
自分が次の恋へと、アイツを忘れる事ができるのなら、意地でも櫻田を、と思ってしまうのはきっと何かが変われるんだと思い込んでいるからか。



助けてと、誰かに言いたくなる。


もう、いい加減自分で自分をどうして良いかわからない。

後先考えず、だれかれ構わず、縋って、泣いて、助けを請いたい。


考えるほど気分が悪くなって。

胸元のそれをそっと押さえ、深く呼吸した。







教室に顔を出せば、担任から解放されたばかりであろう櫻田が居た。
「櫻田」と声を掛ければ俺を見て、警戒した表情。
当たり前か、ついこの間あんな事をしたのだから・・・。


「委員長・・・」

「どうだった?進路指導」

「待ってたの?」

「ま、そんな所」


近づけば、さらに警戒されているのがわかって思わず苦笑が漏れた。
そっと手を重ねれば直ぐにでも振り払われそうで、ぎゅっと力を込める。


「好きなんだ。」


アイツには、言えなかった言葉。
繋ぎ止めておくことができるのなら、と簡単に口から出た。


「・・・・なんで、俺?」

「理由なんてないよ。櫻田だからだろ」

「何度言われても・・・。俺は桐生を好きにはならないよ」


櫻田の肩に頭を寄せて、その警戒し、緊張した体と、ため息交じりのそんなセリフに、涙が出そうになった。

思い人が離れていくかもしれないという可能性から、その辛さから、助けようとして・・・本当は自分が助けられたかったのだ。

櫻田になら、わかってもらえそうで。

消化しきれない俺の気持、聞いて欲しくて。

でも―――――



叶わない。




「こんなこと、するつもり無かったんだけどな。」


「!?」


自分のネクタイで櫻田の腕を締め上げる。
全てが、何かの映像のようで。
感覚なんて、感情なんて、麻痺していた。





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