sunny place | ナノ
sunny place
03
「桐生、これHRの間に配っておいてくれ」
担任から渡された大量のプリント。
委員長なんて役割はみんなのまとめ役で、そして先生のお手伝いみたいなものだ。
高校生となれば決め事もたくさんあるわけじゃなくて、ちょっとした肩書きでしかない。
そして、優等生の顔をしていればいい。
誰も俺が夜な夜な男に抱かれているなんて気付きもしない
「委員長?」
「・・・あ、何?」
「ボーっとしてどうしたの?プリント配るんなら手伝おうか?」
「あ、あぁそう?助かる」
ちょっと微笑めば皆快く思ってくれて。
目の前に立つ、俺に好意を持って仕事を手伝ってくれるクラスメイトは、コロコロとよく笑い無駄話をする。
こいつも、俺の知らないところで胸を痛めてたりするのだろうか。
周りに気付かれないように、仮面をかぶって生活しているのだろうか。
大切な物は、あるんだろうか・・・
「ありがとう。助かったよ。」
「全然!俺、委員長の役になったのならそれで良いよ」
―・・・綺麗なものを汚したい、と思った。
◇
それからしばらくして、そのクラスメイトからの呼び出しを受けた。
空き教室に呼び出され、その時点で内容なんてわかりきったようなものだったけど・・・
「い、委員長、もうわかってるかも知れないけど・・・」
顔を赤らめ、俺を見上げるその顔。
告白って、こういうものだ。
本当に、心からの言葉って重いものだ
「好き、です。」
秋吉からは一度ももらえなくて
俺からも一度も言うことが出来なかった
その言葉
「俺の、どこが・・・・好き?」
「え、そのっ、なんていうか・・・何でもこなせる所とか。優しい、笑顔、が・・・」
俺の上辺に騙されて
そして告白してくるなんて、なんて可哀想な奴なんだ。
「・・・・ありがと。でも俺付き合うとか考えられないんだ、今は。」
「そ、そう。・・・男、だしね・・・ゴメン。」
「でも―――、抱いてやることはできる」
「え?」
顔を近づけ、問いかける
「どうする?」と。
目を潤ませ、泳がせ、そして、少し顎を上げたそいつの行動を肯定だと見て、唇を重ねた。
「ん、んっ!」
制服の袖を噛み締め、声を抑えて机にうつぶせているそいつを後ろから揺さぶる。
快楽に身を委ねて、時折俺の名を呼ぶそいつに・・・感情なんて湧かない。
擦る事で生理的に勃たせたそれを突っ込みながら、喘ぐそいつに俺を重ねた。
入れてしまえば後は快楽を求めれば良い。
そうやって秋吉も俺を抱いたのか
受け入れて、名を呼び勃たせて達する俺は
さぞ滑稽だっただろうか
求めるように、絡みつく穴に欲望を注ぎ込み、そうやって快楽だけを求めていた秋吉に
喜び腰を振る俺は・・・どう見えていた?
可哀想な奴だと、そう思って
指輪なんか・・・渡したの?
「あん、は、げしっ・・・!ああっ!」
相手の声なんて聞こえているようで聞いていない。ひたすら腰を振り、お構い無しに奥に精子を叩き付けた・・・
ズルリと自分を抜き出せば
震えて快楽の余韻に浸っているそいつに声を掛けた
「ゴメン・・・喘ぐ声、聞いたら抑えられなかった・・・」
「っ、あ、・・・うん。」
吐精してもなお火照りを残したその体をかき抱き、俺に視線を寄こすそいつは照れたように、嬉しそうに、口元を緩めて笑った。
prev|back|next
[≪
novel]