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sunny place
17





新幹線が到着する頃には、ホームに人が多くなり、新幹線が去ると同時に人はいなくなる。

時計を見ながら、待合室で時間をつぶす。


秋吉は驚くだろうか。
今まで駅に迎えに来た事なんて無かったから・・・。

そんな秋吉の顔を想像して1人顔をほころばせる。自販機で買ったコーヒーを飲みながら、携帯を弄り秋吉の到着を待つ。

5時過ぎと聞いたものの実際の到着時間は知らない。
5時回った頃なのか、それとも6時に近い時間か・・・いつもは家でテレビを見たりしながら待っているのでそんなアバウトな時間しか教えてもらわない。



何度メールを見返しても
秋吉からのメールには“5時過ぎ”と書かれていて。
見返す度に、ため息を吐く。

到着時間の掲示板を見ても、次の新幹線は6時26分着。何かトラブルで乗り遅れたのだろうか・・・


また、メールを確認しようと携帯を手にしたところで着信を知らせる曲が流れる。

ディスプレイには秋吉の名前。

慌てて通話ボタンを押した。



「もしもし?」

『廉・・・』

「どうしたの」

いつ着くの?と聞きたいところだったが秋吉は俺が新幹線の駅に来ていることなんて知らないし、驚かせるためにも、黙っておきたい。



『廉・・・・そっちには、帰らない』



「―――えっ、・・・ど、いう意味?」




『そのままの意味だ』

「え、え?なに?仕事まだあるとか?」

6時26分の新幹線が近づいてきているのか、待合室に人が増えてきたのを見て、慌てて外へ出る。
出来るだけ人から離れる場所、ホームの端へと歩いていく。


『仕事じゃない。もう、本社に戻る事にしたんだ』

「・・・何、言ってんの?・・・そんな急に?」

『急じゃないよ。決めたのはこの間本社に来た時に話しを決めていた』

「――――」


なんで、教えてくれなかったの。

そう聞こうとして口を開いたのに、悔しさで目頭が熱くなった。

俺に言わなかったのは俺に言う必要が無かったって事

俺に言った所で・・・・

俺は本社行きに反対した?

秋吉はそう想像したのかも知れない。

それでも―――


「相、談・・・とか」


秋吉からしたら、俺があまりにも幼いから

相談する気にもならなかった?


「・・・・俺って、何?」

『廉・・・・』

「いつ、こっちへ来る?・・・このまま俺たち遠距離なの?」

遠距離だってかまわない。

秋吉にとっては一人前じゃ無い俺だけど、俺はこの気持あれば遠距離だって別に良いと思える。会いにだって、行ってみせる。



『廉、すまない。』


新幹線が入ってきた。ざわつくホーム、アナウンスの声が耳障りだった。


秋吉の声を聞きながら、新幹線に目をやる

再会を喜ぶ者
先を急いだサラリーマン
別れを惜しんで立ち尽くす人たち

それをまるでドラマのワンシーンを見ているような感覚でぼんやりと眺める



『廉、・・・・廉、この関係を終わりにしたい』


何、言ってんだろう。
この関係を望んだのは俺じゃない。アンタが俺に手を出したんだって・・・


その関係にまんまとおぼれたのは、俺か。



なんて答えたら良いかなんてわからない。
急に突きつけられた出来事を処理することさえ俺の頭はしてくれそうにない。


『廉、お前はこれから色んなことを学ぶべきだ。俺が縛り付けておくわけにはいかない。お互いの為にも・・・』


「奇麗事・・・・だな」


『・・・・・・。あぁ、そうだな。・・・・俺もこっちで嫁探しするよ、いい加減・・・親もうるさいから――――』



まだ、何か言葉を発している秋吉

耳から携帯を離すと電源を落として、携帯を閉じた





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