sunny place | ナノ
sunny place
04
side:秋吉
からかい半分だった。
自分が男も女もいけるのは本当だったが、この高校生をどうこうしようと思って連れ込んだわけでもない。
こっちに来て2ヶ月、急な支社の呼びかけにバタバタと引越し、知らない土地、新しい社員を従えての仕事にやっと慣れたところだった。
若くして、仕事のノルマをこなし、営業でも接客で多くの契約を取り、自分の意思を思うがまま出しているうちにあっという間に自分の地位が上がっていった。
自力でここまで上がってきた俺に面と向かって妬みや嫌味をぶつけてくる奴なんていなかった。
そして、女よりも仕事。
女は興味がある、が、長く居ると居心地が悪くなる。仕事が詰まると「寂しい」とわざとらしく泣き、イベント事ではブランド物が欲しいという。
俺にとって女は性欲処理としか考えられず、情なんて本気で湧くことが無かった。
上辺だけの恋愛ごっこ。
若い頃は本気で恋もしたし、それはそれでよかった。この年で結婚を考えつつ女を選ぶことなんて俺にとって拷問でしかない。束縛されたくない、それだけだ。
結婚願望なんて全く無い。
こっちの支社は若い人材ばかりで、支社としての役割は十分だったが、本社はそれ以上の力を求めていた。そこで俺がこちらに移り指揮を取る事になった。
仕事の指示をしっかり出来るようになり、社員から歓迎会を含めた飲み会に誘われた。
仕事は好きだ、人付き合いも嫌いじゃない、そういうものには喜んで参加させてもらった。
それに本社のような、俺に妬みの視線を送ってくる奴なんて居なくて、年齢も近い奴らが多く、居心地の良い社内のムードだったのだ。
そして今日、調子にのって飲みまくっていた営業の須賀が青年に絡み、迷惑を掛けた。
ほっておくわけにも行かず、一応、ほんと一応の責任者気取りで俺が何とかするべきなのだろう、と思い
家に連れて帰った。
もちろん、着替えてすぐに帰るだろうと思っていたのだ。まだ若いし、知らぬ人間の家だ、居心地の良いものじゃない。
風呂を貸し、上がった青年。
ソファが濡れた髪から滴る水でシミを作っていた。
風邪をひかれては困る、という意味を含めて注意をしたつもりだが、慌てて立ち上がった青年。
俺の目の前に晒された、濡れた髪としっとりとしたうなじ、肩から背中に掛けてのラインに視線を取られた。
あぁ、ヤバイ、と。
最近忙しくて女を捕まえていなかった。
帰っては酒を飲みそのまま寝ることが多く、久々に人肌恋しく感じた・・・その感情を抑えるように、入れ替わりで風呂に入った。
その間に帰るだろう。
むしろ帰ってくれ・・・、そう願いつつ。
なのに青年はあろう事か首からタオルを掛けて、パンツ一枚でテレビを見て、カクテルを飲んでいた。
知らないぞ、と。
俺は一度帰る隙を与えたんだ。
それでもここに居たのは青年の意思・・・。
からかい半分で会話をしているうちに、面白くなっていったのが正直な所。
泣かす手前でやめてやろうか、とか色々考えてた。
「廉」と名乗ったその青年
押さえ込んでキスをしたら、止められなくなった
暴れるのを押さえ込んで服従させるようなその行為。
手や足に力を込めても、唇、舌だけは優しく動かし、相手をその気にさせる。
簡単に体を差し出す女じゃなくって
どう俺がその気にさせるか
どう攻め立てようかと考えて興奮した。
久々に、行為に夢中になれそうだった。
prev|back|next
[≪
novel]