どうしようもなく


「っああ、は…ァんンぅ……アァ」
「は、っ……」

気遣いなど皆無な荒々しい突き上げに、大の男二人が横になるには少々狭いベッドが悲鳴を上げる。ギシギシと悲痛な音を奏でているそれは、まるで自身の心を代弁しているようだと新は思った。絶頂に向けて火照っていく体とは対照的に、急速に心が冷えていく。

――いいかげん、そんなくだらないことはやめなよ。

以前友人に言われた一言をふと思い出した。くだらないこと。そんなこと言われなくても自分が一番わかっている。子供じみていて、しょうもない。でも、これ以外にどうしたらいいのかわからない。
下から押し上げられる内臓とぐるぐる回る思考に吐き気がした。

「……、っイ、くぞっ…」

切羽詰まったような声が聞こえたかと思えば、体の奥に熱い飛沫を叩き付けられる。今まで好き勝手に自身を蹂躙していた逸物がずるりと引き抜かれ、それに合わせるように間抜けな甲高い声が自身の口から洩れた。
先まで男のモノを咥えていたソコは締まりきらずヒクヒクと収縮している。その様は物足りないと強請っているようで、浅ましい自身をまざまざと突きつけられたみたいだ。
情事後特有の気怠い雰囲気のままダラダラしてしまいたくなるが、新は体の汚れを拭き取り簡単に身支度を整えると何事もなかったかのように立ち上がった。

「じゃあそろそろ俺は帰るねえ」
「今日も泊まってかねえの」

不満そうな声を出す相手に曖昧に微笑んで、部屋を後にする。消灯時間ぎりぎりの廊下は人通りが少なく、もの寂しい。コツコツと靴音を響かせながら腕時計をチェックする。
俺の最も楽しみな時まであと40秒――。
――4、3、2、1、……

「こんばんは、風紀委員長サマ。今日もお勤めご苦労様ぁ」
「……周藤か」
「はいはーい周藤君ですよー」

見回りのため、毎日この時間に決まって巡回している風紀委員長へ労いの言葉をかける。俺の大切な思い人である彼とこうして出会えたことが嬉しく、にへら、と締まりのない笑みを浮かべると、あからさまな溜息をつかれた。


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