身体検査


「おら、身体検査すんぞ犯罪者」

そう言って下卑た笑みを浮かべる看守に俺は肩を震わせた。
一糸纏わぬ身体にまるで見定めるかのような、ねっとりとした視線が向けられ、ただただ不快感が煽られる。

(俺は無実なのに)

心の中でそう思うが、長時間に渡り行われた取り調べのせいで反論する精神など残っていない。もはや全てがどうでもよくなっていたのだ。
しかし俺は、このことをすぐに後悔することになる。

「壁に手付いてこっちに尻を向けろ。看守様直々に身体検査してもらえることを光栄に思えよ」

――この一言が、俺に“人間”としてかけられる最後の言葉になるなど、一体誰が想像できたであろうか。


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