ケンカップル



「俺の教科書…。結局どうすっか」

一人、精神的にも肉体的にも取り残された教室で、ぼんやりと呟いた言葉は頼りなく空気に溶け込んでいく。

「はあ、……帰ろう」

考えても虚しくなるだけだ、と振り切るように立ち上がると、強かに打ち付けた背中がジクジクとした痛みを訴え始めた。

「ってぇ、」

――もしかしたら痣になっているかもしれない。あの憎き谷口のせいでっ…。

新たに湧き上がってくる怒りを抑えながら、林田は鼻息荒く再び家に帰るため足を動かし始めた。


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