ヤンデレ2×総長


明かりもついておらず、カーテンも閉め切られた真っ暗な部屋で、唯一モニターだけが色を放っている。そんな陰鬱な部屋で異色の存在感を放つ男が一人。アオだ。
アオは、そのモニターを見ながら至極愉快そうに笑っていた。

「楽しそうだねえ、蒼君」

誰もいない筈の部屋に突然第三者の声が響く。だが、その声の持ち主が誰かわかっているため、アオは慌てることなく対応した。

「そりゃ、こんなの楽しいに決まってるじゃないすか。スイさんも一緒に見ます?」

スイさん、そう呼ばれた青年はゆるゆると首を振って答える。

「結構だよ。人がボコボコにされてるのを見て笑う趣味なんて、僕は持ち合わせてないからね」
「くっくっ。あいかわらずスイさんは手厳しいなあ。別に、俺もそんな変態趣味持ってねえけど」

そういいながらも笑い続けているアオの前に、スイは料理を並べていく。このバーはスイのもので、スイはマスターをしているのだ。

「おお、さすがスイさん。相変わらずうまそう」
「それはどうもありがとう」

綺麗に並べられた料理に賛辞を贈ると、呆れながらもスイはきちんと返事を返してくれる。アオは、彼のそんなところをかなり気に入っていた。

「いや、本当なんだけど。俺は本気でスイさんも、スイさんの飯も、気に入ってる」
「それはありがたいけどね。でもそう思うなら、彼らの暴走、ちょっとは止めてほしいんだけど。これじゃ、いつか店破壊されるんじゃないかって、気が気じゃないよ」

そう本心を告げると、アオは一瞬きょとんとしてからくつくつと喉で笑い始める。

「そりゃ、無理ってもんだわ。こうやって、あいつらが俺のために必死で動くのを見るのが今の一番の楽しみなのに」
「あっそ、まあいいけど。ほどほどにね」

そんな言葉を残して、スイは部屋を出ていく。その際、アオの目がモニターから離れることはない。

「まったく、あの子たちは……。部屋、あんまり汚れてないといいんだけど。それは無理だろうな」

これからしなければならない部屋の掃除を思い、スイは肩を落とした。


 5←prev

main
top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -