ヤンデレ2×総長


緊張しているのだろう、感嘆符をつけた自己紹介がなされ、アオは思わず眉間に皺を寄せる。五月蠅いのはあまり好きではないのだ。適当に「コウダイな、よろしく」と返し、ナツメとレンに「ちょっと便所行ってくるわ」といってから席を立つ。

「おう、行って来い」
「いってらっしゃーい」

そんな気の抜けた二人の返事を背に、アオはカウンターを離れた。顔には、うっすらと笑みが浮かんでいる。

「あーあ。これでもうあいつ、…名前なんつったかな。まあいいか。あいつは終わったな。俺五月蠅いやつ好きじゃねえし、どうでもいいけど」

そんな小さな呟きは、誰の耳に届くこともなかった。

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ナツメとレンは、アオが店の奥へと消えるのを見送ってから、ゆっくりと視線をコウダイへと向ける。

「ナツメさんとレンさんも、よろしくお願いします!」

何を勘違いしているのか、そう元気よく告げてくるコウダイに、ナツメはにいっと口の両端を吊り上げた。レンは、まるで蛆虫を見るかのような、冷たい目をしている。

「ふうん、キミ、コウダイ君って言うんだあ」
「はい!俺、蒼さんやナツメさん、レンさんに憧れてました!」
「この子、俺らに憧れてたんだってよお、レン。どうしよっか」

ナツメがそう声をかけると、今までむっつりと黙っていたレンが漸く口を開いた。

「俺らに憧れてた、な。なら、俺らが直々に躾してやんねえとダメだろ」
「シツケ、だって。やーらしいの」

無感情でそういうレン。どこまでも楽しそうに笑っているナツメ。その二人に何か異様なものを感じ取ったコウダイは、ジリジリと後ずさる。
が、ナツメにしっかりと腕を掴まれてしまったためにそれ以降動くことができない。


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