ヤンデレ2×総長
「手前だけにゃ言われたくねえな、ナツメ。お前の方がどう考えてもヤバいだろ」
「ええ、何のことか俺わかんないよ」
にこにこ、にやにや、と自身を挟んで交わされる会話に、アオはこっそり笑みを零す。本当は、ナツメのいうお仕置きが何を示すのか、大方理解している。そして、レンの言うナツメのえぐさも。この二人は、ほかの誰でもない、自身のためだけに全ての行動を起こしているのだから。
きっと隣町のチームは自身に対してよからぬことを考えていたのだろう。だからレンは相手に対してお仕置きという名の拷問を科し、遅くなったのだ。
「たまんねえなあ」
つい、思ったことが口をついて出てしまう。怪訝そうに見てくる二人には曖昧に返し、グラスに残っていたものを一気に流し込んだ。
「アオ、今は楽しい?」
指でグラスを弄っていると、不安そうな顔でナツメが顔を覗き込んでくる。すると、レンまでもが被せてきた。
「俺らはよお、アオ。お前のために動いてんだわ。だからお前が詰まんねえっつうなら新しいもの見つけねえとなんねえだろ」
褒められるのを待っている子供のような顔をして聞いてくる二人に、そういえばこのチームも「退屈だ」、という自身の言葉に対して作られたのだということを漠然と思い出した。
「そうだなあ……。まあ、今はまだそれなりに楽しいんじゃねえの」
「ほんとー?ならよかったあ」
「楽しんでんならいいけどよ」
それぞれから嬉しそうな反応が返ってきたことに満足して、アオは口を開こうとした。が、
「お話し中、すみません。蒼-ソウ-さん、ちょっといいですか」
蒼-ソウ-。それはチームでの自身の通り名で、ナツメとレン以外は皆そう呼んでいる。そのことから声をかけてきたのはおそらくチームの奴だ。ゆっくりと振り返るが、どうにも見覚えのない顔に疑問符が浮かぶ。誰だ、と問いかけようとしたら、馬鹿みたいにでかい声で先に告げられてしまった。
「あの、俺はコウダイっていいます!今日から新しくチームに入りました!よろしくお願いします!」
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