Happy Helloween
わなわなと震えながら叫ぶ毛利に間髪入れずに否定する。ロリコンだなんて、冗談じゃない。
「だ、だってこんなちっちゃい子…」
「……娘だよ」
ぶっきらぼうに答えてやると、切れ長の目を精一杯開いてアホ面をさげる毛利に自然と笑いがこみ上げてくる。
「お前、っなんつう顔してんだよ」
「っ、センセ、笑った!なにそれ可愛い!もっかい笑って!」
「アホか」
笑って笑ってと騒ぎ立てる毛利を軽くあしらっていると、服の裾をくいくいと引っ張られてはっと我に帰った。
「ハジメちゃん、とにかくお部屋にいこ?そこのお兄ちゃんもハジメちゃんに用があるんでしょ」
首をこてんと傾げながら告げてくる娘を抱き上げてやる。きゃっきゃっと喜ぶ娘にほっこりしながら未だ玄関から一歩も動いてない毛利に声をかけた。
「まあ、なんだ。とりあえず上がれ。今日は特別だ」
瞬間ぎゃーぎゃー騒ぎ出す毛利を置いてさっさと部屋に入る。
「ごめんな、芽子。うるさくしちまって」
むっつりと黙ってしまった娘に対して謝るが、返事が返ってこない。これはご立腹だな、と肇は肩をすくめた。
「うわー、ここがセンセの家かぁ。思ってたよりも片付いてんすね。………ん?」
部屋に入ってくるやいなや何だかんだと一人騒いでいた毛利が怪訝な声をあげる。
「なんだ、どうした」
「いや、何となく何すけど。少し焦げ臭い、かなって」
「…焦げ臭い?」
一瞬何のことかと思いを巡らすが、思い当たる節が見つからない。気のせいじゃないか、そう言い掛けたところで、芽子が悲鳴のような声をあげた。
「クッキー!」
「あ゛!」
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