図書館司書×生徒会長


消え入りそうな小さな声でそう呟くと、大きな体にぎゅっと抱きしめられる。
「もちろん、いていいに決まってるだろう。それに、もし他に必要とされなくったって、ゆーりには僕がいるじゃない。僕は絶対にゆーりを手放しなんかしないよ。僕だけじゃ不安かな?」

耳元でそう囁かれ、御園は今までの不安が綺麗に取り除かれていくのを感じた。
――そうだ、自身にはこの人がいるじゃないか。いつだって誰よりも近くで見守ってきてくれたこの人が、ずっと傍にいると約束してくれたこの人が。

「おにいちゃん」

昔と同じように呼びかけると、「なに、ゆーり」、と嬉しそうな声が返ってくる。それに「なんでもない」と答えてから安藤の首筋に顔を埋めた。これも、昔幼かった頃によくやっていた行為で、いつも飲んでいるコーヒーが染みついた彼の匂いは自身をどこまでも満たしてくれる。

「俺のこと捨てないでね、おにいちゃん」
「当たり前だよ。こっちこそ僕のこと捨てたりなんかしたら許さない」

戯れのように交わされる言葉に、御園はこれ以上ない幸福感を見出していた。生徒会に関する問題は何一つとして解決していないけれど、この人がいてくれる。それだけでいい、それだけで何でもできる、そう思った。

「ゆーり、愛してるよ。今までも、これからも。一生君だけだ」
「俺も、だよ。一生おにいちゃんだけ」

他人などいない、邪魔するものなど何もない、文字通り二人っきりの静かな部屋で二つの影が重なり合うのにそう時間はかからなかった。


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