図書館司書×生徒会長


「腹、減ったなあ…」

そういえば朝に10秒飯を流し込んで以来何も口にしていない。真っ白な壁に吸い込まれるように消えてしまった呟きにどうしようもない空虚を感じる。いったいどこで道を違えてしまったのだろうか。もう二度とあのメンバーで笑いあうことはないのだろうか。手を休めるとどうしても負の思考に捕らわれてしまう。こんな状態では片付くものも片付かない。御園は少し気分転換でもしようと、重い腰を上げて生徒会室を後にした。

ふらふらと薄暗い廊下を歩く。目的地などはなく、今はただあの部屋から少しでも距離を取りたかった。
――逃げてしまいたい
ここで逃げてしまったとしても、きっと誰も自身を咎めたりなどしない。むしろよく頑張ったね、と優しい言葉をかけてくれるだろう。逃げてしまえば……、
思考が逃げへ逃げへと傾いてしまったことに、御園は慌てて首を振った。
――駄目だ、逃げることなど決して許されない。今ここで逃げてしまっては、築いてきた全ての信頼を、受けてきた期待を、裏切ってしまうことになる。そうなってしまっては、自身はいったい何のためにここまで頑張ってきたのか。信頼を、期待を、受けてきた分、返さなければならないのだ。それができなければ、捨てられてしまう。

そこまで考えが至った瞬間、御園はさあっと血の気が引いていくのがわかった。捨てられてしまう、また一人取り残されてしまうのか。恐怖でガタガタと震える始める体を落ち着けるため抱きしめるが、なかなか収まってくれない。

「クソッ。なんで、落ち着けよ」

思い通りになってくれないことばかりで、思わず悪態をついてしまう。しかし、震えは一向に鎮まる気配を見せず、仕舞には立っていることさえ儘ならなくなってきた。壁に背中を預けズルズルとそのまま廊下に座り込むと、連日の睡眠不足がたたってか、視界までもが霞み始める。

「仕事…、仕事に戻らないと……」

――まだ終わってない仕事は山のようにあるんだ。資料をまとめなければ、会議の準備をしなければ、書類を申請しなければ…、
御園は意識が落ちるその瞬間まで、ひたすらに仕事のことだけを考えていた



「んぅ、う゛……っ」


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