初体験編



「怖い?」

目をしっかりと合わせて尋ねる。今ならまだ止められる、そう言外に秘めて伝えるとふるふると首を降られた。

「止めんな、大丈夫だから。早くお前のものにしてくれよ」

にやり、と不敵に笑われ毛利は心臓がキュンと締め付けられるのを感じた。用意しておいたローションを取り出し、秘部に重点的にかける。肇はローションの冷たさと液体が流れ落ちる不快さに眉を顰めながらも不満を言うことはない。

「それじゃあ、挿れる、よ」

毛利はそっと右手の人差し指を差し込んだ。

「う゛っ、ぁ」
「大丈夫?痛くない?」

不安げに伺ってくる毛利に大丈夫だと返し、先を促す。それならば、と毛利はゆるゆると抜き差しを始め、アナを広げることに徹する。

「…っあ゛、ぅう………ぐっぁ」

とても気持ちよさそうとはいえない状態に不安になるが、馴染んできたところで次は中指も添えてみる。

「ひぃ゛っ、」

肇の身体がびくんと揺れ、声を上げる。

「な、いっまの…」

身体に一瞬走った凄まじい衝撃に目を白黒とさせていると、見つけたね、と耳元で囁かれる。

「みつ……け、た?」

訳が分からず毛利を見つめると、にこりといい笑顔で返される。

「そう、見つけた。肇のイイところ…」

前立腺、というと毛利は差し込んだ二本の指でソレを挟み込んだ。

「い゛い゛っ、や…っあぁ゛はン」

余りに強すぎる刺激に肇ははくはくと息をすることすらままならない。目も虚ろになりかけているところで三本目を挿入するが、痛みを感じた様子はなく再び前立腺を虐め抜く。

「…っぁ゛あ゛あ゛、ンァふ…」

ずるりと指を抜くと完璧に閉まりきることが出来ず、ひくひくと収縮している。毛利はズボンから張り詰めた自身を取り出し、ひくつくアナへと切っ先をあてがった。

「っあ…」
「わかる?肇のココに今から俺のが入るんだよ」

分かりやすいよう入り口に擦り付けると、ローションと互いの体液でぐちゃぐちゃと音を立てる。自身からそんな音が出ているのかと思うと恥ずかしくて肇は早口でまくし立てた。

「っも、わかっ…た、からぁっ……はや、っはやくいれっ」

途端言い切らぬうちに凄まじい衝撃が走る。

「っひぃ、ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛」
「っは…」

身体を内側から引き裂くような痛みに肇は悲鳴のような声を上げるしかない。毛利もキツすぎる程の締め付けに息を詰めた。

「あ゛ァ……っもうり、もっ…りぃ」
「っふぁ、………んぅっはじめ、大丈夫。ね、っ大丈夫」

大丈夫だと何度も繰り返しながら優しく背中をさすってやる。毛利は肇の呼吸が落ち着き始めた頃合いを見てゆっくりと腰を動かし始めた。最初は浅く抜き差しをし、次第に深くしていく。部屋に聞こえるのは肉と肉のぶつかる音と荒い息、互いの体液が混ざり合う音だけで、それはまるで獣の交尾のようだ。そんな中肇がぽつりと呟いた。

「…………っ」

よく聞き取れなかった毛利は動きを緩めることなく聞き返した。

「っは、じめ?…ンぅなっに」
「っ…かや、たかっんぁやァ。はっ……たかやぁっ、んあぁあ゛あ゛ぁ゛」
「うあ゛っ」

それが自身の名前なのだとわかった途端、毛利は耐えきれず中に出してしまう。肇も初めて感じる熱い液体に身体を震わせていた。中ではイケないために昴ぶったままのモノも身体に併せてふるふると揺れている。毛利がそっと手を伸ばそうとするとパシリとはたき落とされた。

「肇?」

なぜそうされるのか分からず名前を呼ぶと、首に手を回されぐいと引き寄せられる。

「ふ、ぅ……次は、一緒にイかせろよ。ンまだ、いけんだろ?」

唇をペロリと舐めながらそう言う姿は壮絶な色香を放っており、毛利のモノは再び芯を持ち始める。中でソレを感じ取った肇はくつりと笑みをこぼし一言囁いた。

「貴也、…誕生日おめでとう」

一瞬何を言われたのか分からなかったが、理解したとたん毛利はとろけるような笑みを浮かべた。

「肇、ありがとう。愛してる」
「俺もだよ、貴也」

二人の間には甘い空気が流れ込み、二つの陰が重なり合うのにそう時間はかからなかっ
た。


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