会長様とプールの乱


「それ僕も思った。なんか距離が近くなった感じするよね。二人の間に何かあったのかな」
「何かってなぁに?」
「さあ?僕にも分からないけど」
「まあ仲が良いに越したことはないだろ。別にいいんじゃないか?」
「別に仲良いのはいいんだけどさぁ……」
「なんだ、どうした?」
「うーんちょっと寂しい、みたいな?」
「なんだそりゃ」
「僕も分かるよ!なんか野良猫が自分以外に懐いてるの見ちゃった、みたいな寂しさがあるよね」
「そうそれ!まさにそんな感じぃ」
「お前等な……御笠を野良猫って」
「えーぽいでしょぉ?ね、あっきー」
「うんぽいぽい!会長って血統書付きの野良猫って感じするよね」
「血統書付きの野良猫……うーん」
「えぇー微妙な感じ?じゃあしーちゃんはなんだと思うわけぇ」
「そうだな……御笠は、プレーリードッグっぽい」
「……プレーリードッグ?」
「何そのセンスぅ。まさかすぎるよ、プレーリードッグとかウケる」
「そうか?なかなか良い線いってると思うんだけど」
「いや、プレーリードッグはないと思うな」
「俺もそれはないと思うよぉ」

なんて会話がなされてるとは、露ほども気付かなかった。

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「ああああ″あ″あ″あ″あああ″ああ疲れた」

ぼふんとソファに身を投げる。弾力性抜群なソファは、沈みすぎることなく、程よく体を押し返してきて居心地が凄く良い。自室な為周りの視線も気にする必要がなく、ゴロゴロしていても何の心配もない。

「もう俺、このソファと結婚しようかな。……なんつって」

静かな自室は確かに癒されるけどちょっと寂しいなあ、なんて思った瞬間、ここ数日で聞き慣れたチャイム音が響いた。
時計を見ると20時とちょっと過ぎたところで、ああもうそんな時間かと重い腰を上げ、玄関へと向かう。

「あーいらっしゃい」

尋ね人を確認するまでもなく扉を開けば、不機嫌そうな顔と目があった。

「扉を開けるときはきちんと確認しろって言ってるだろ」


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