会長様とプールの乱


東雲の差し出した書類を受け取った棚町は、すぐさまそれに目を通し始める。そして俺の何ともいえない機嫌の理由を悟ったのか、ふっと笑みをこぼした。

「なるほどな、通りで」
「どうかしたのか、棚町?」
「いや、何でもない」
「すっごい楽しそぉ。ニヤニヤしちゃってやぁらしい」
「そんなことはない。なあ御笠」

(何でそこで俺に振るの馬鹿じゃないのぉおおおおおおお)

ケタケタと笑っている時坂と、何でもないように、否むしろ楽しそうに会話している棚町。その合間合間に言葉を交わす不知火と東雲。俺を除いて楽しそうな雰囲気を醸す奴らに一瞬殺意が芽生えたが、軽く咳払いする事でなんとか抑え込む。

「それはさておき、突然水泳なんて何かしらの問題が起こるとしか考えられない。何か対策が必要だと思うんだが」

真面目な声音でそう言えば、今までの和気藹々とした雰囲気にピリッとした緊張感が走る。この場にいる全員の顔つきが、そこら辺にいる男子高校生のものから責任ある役員の顔へと一瞬にして変貌する。

「そうだな、生徒会と風紀。後体育委員も交えての会議を開く必要がありそうだ」
「ああ、会議は明日の昼に行う。時間がないから巻いていくぞ」

俺のその一声で、役員たちがわらわらと自分の席に戻っていく。おそらく自分の仕事に取り掛かるんだろう。

「それで、だいぶ話が逸れてしまったが棚町の用は何だったんだ?」
「そうだ危うく忘れるところだった。風紀からの書類を届けに来たんだ。これとこれな、サインを頼む」
「んーこれならすぐ終わるし、そこで待ってろ」
「おう」

棚町から受け取った書類にさっと目を通しサインをしていく。

「はい、サインしといたから」
「確かに受け取った。じゃあまた後でな」
「ああ、また後で」

生徒会室を颯爽と出て行く棚町に軽く手を振り、俺も自身の仕事に取り掛かった。
どうやって水泳の授業を廃除、もしくは回避するか。それで頭がいっぱいだった俺は、この時役員たちの目が自身に突き刺さっていることに全く気が付かなかった。

「ねえ、なんかほーちゃんとれーちゃん前より仲良くない?」


2←prev*next→4


top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -