副会長様の場合
「……………それでは次の議題にいこう。今年度の予算だが、……」
コチ、コチ、コチ、コチ
(後5分……)
「…………部は大会で優秀な成績を納めたことだし、もっと部費を増やして……………」
コチ、コチ、コチ、コチ
(後3分……)
「しかし、それでは………が、……じゃ、…………か」
コチ、コチ、コチ、コチ
(後2分45秒……ってさっきから15秒しかたってないの?!ヤバいヤバいヤバいヤバい)
僕、東雲亮史は焦っていた。
無駄に音の響く掛け時計を何度も見やっては全く進んでいない短針と長針に苛々し、さっきから止まらない貧乏揺すりはそろそろ机まで揺らし始めるんじゃないかというほど大きくなっている。現在進行形で行われている大事な会議の内容は、右から左へとすっぽ抜けて頭に全く入ってこない。
そのくらい、切羽詰まっているのだ。
(こんな会議放置して今すぐここからダッシュしたいぃいいい)
副会長という責務を負っている以上、そんな無責任なことは出来ないけれど……。
しかし、タイムリミットはすぐそこだ。
限界が刻一刻と迫っている。
(もうムリもうムリ!これ以上は爆発する我慢できない……っ!)
――もう駄目だ、
そう思ったところで
「……と、いうことでいいな。質問も無いようだし、今日の会議はこれまで。お疲れ」
都合よく作られた耳は、敏感に言葉をキャッチした。
「っお疲れさまでした!」
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