「スザク、もしも美奈を僕のお嫁さんにしたいって言ったら、どうする?」

藤堂さんからの稽古を終えたあと、汗だくで縁側に寝転がるスザクに俺は尋ねた。
最初スザクは「は?」と疑問の声を上げたが、すぐに起き上がる。

「ルルーシュ、今なんて言った?」

「だから・・・・美奈を僕のお嫁さんにしたいって言ったら、どうする?って聞いたんだよ。
美奈はスザクの許婚なんだよね。だから、スザクは本当に美奈と結婚するのかなって・・・」

俺がそう言うと、スザクはみるみるうちに真っ赤になった。
このときのスザクはがさつで、こういった話をすると顔を真っ赤にさせていた。
免疫がないといえばなかったのだろう。
彼は乱暴に答える。

「けっ・・・けっこんなんてっ、大人が勝手に決めたんだっ!!!俺は別に・・・・・」

「じゃあ僕が美奈をもらってもいいの?」

「ダメに決まってるだろっ!!!」

怒ったようにスザクがすぐに叫んだ。
そのあとすぐに小さく、「美奈は俺のものなんだ。」とふてくされたように言う。
そのままそっぽを向いてしまった。

美奈は俺のもの。

そういわれただけで、無性に腹が立ってくる。
「じゃあ・・・」と俺はそこで言葉を切る。スザクの視線が返ってきた。
俺はあいつを見て、きっぱりと宣言した。

「僕、君から美奈のこと、奪うから。覚悟しといてよね、スザク。」

「なっ・・・・!!!」

それを聞いたスザクは、顔を赤くさせたり青くさせたりする。
俺はすくっと立ち上がってスザクに背を向けた。トントンと廊下を歩くと、後ろからスザクの叫び声がした。

「おっ・・・・お前に美奈はやらねーからなっ、ルルーシュ!!!」

「じゃあライバルだね、スザク。」

俺は振り返ってスザクに言った。あいつはいつもよりも真剣な表情をしていた。
きっとスザクは、美奈のことが大好きだったに違いない。
でも、その気持ちは俺も負けなかった。スザクよりもずっと、美奈が好き。
そうして、俺たちの関係は微妙に変化した。
美奈をめぐって、俺たちはライバルとなったのだ。それはずっと続いた。
戦争が激しくなって、俺とナナリーがアッシュフォードにかくまわれるまで、ずっと。



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