短編
僕はきっと君が嫌いだ

(pzdr/ヘルメス/男主/シリアス)


「君は馬鹿だ」


僕がそういうと、名前は微かだが目を見開いた。驚いたようだった。僕に暴言を吐かれた事が。


「………何で、そんなこと…言うんだい?」


名前は静かに微笑んだ。それはとても、弱々しい笑みで。口を動かす度に、腹から熱い液体がドクドクと流れる。


「僕は、モンスターだ。ましてや神だ。そんな僕を、庇うなんて。いくら、体力が残ってなかったって言っても、僕たちは直ぐに回復出来る。なのに、名前は僕を庇った。怪我の治りも遅い、ただの人間である……君が。馬鹿だ。君は馬鹿だ。大馬鹿だ。」

「…あ、はは……返す、言葉が…無いな………」


それだけ言うと名前は静かに笑って、血塗れの手を掲げる。僕の顔に触れたいのだろう。だが、こんな血塗れで触りたくないと思っているのが分かった。その挙げられた手は、寂しく宙に浮いているだけ。
そんな名前にたまらない愛しさが込み上げた。血に汚れるのも構わず、その手にすり寄ると、名前は驚いたように目を見開いた。


「ああ……よごれ、ちゃうよ」

「うるさい。僕がこうしたいんだ」

「そ、……っか……」


へらりと力無く笑う。そんな名前の姿を見て、涙が流れそうになった。
どんどん冷たくなっていく手。血は止めどなく溢れ続ける。助かる見込みは……無い。


「………名前、は…大馬鹿者、だ……!!」



溢れた涙は名前の顔に落ちる。
決してその涙を、名前は拭ってくれなかった。


僕はきっと君が嫌いだ
(僕を置いてく君は嫌い)
(だから、僕も直ぐに行くから)

ヘルメス大好き。ま!のような、軽そうな性格のヘルメスが特に好きです。主人を主人のように扱ってなくっても、でも、やはり大好きな主人…みたいなね
title:カカリア




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