短編
ゆるっとカルデア6

※ちょっと長いし、暗い
※ジキル第3霊基再臨バレのような?
※蒼銀のフラグメンツネタ。しかし本文を読んでいない為間違っている箇所があると思います。間違っていたら教えて下さると嬉しいです。


「ジーくんの3回目霊基再臨用の素材集まった!!」
「余はまだ一段階目だと言うのに。」
「だってだって!現段階で鎖手に入れようと思ったらイベント頼りなんだもん!!」
「仕方ない許す。」
「許してくれるんだ…。」
「手に入らない素材を手に入れろと騒いだ所でどうする事も出来まい。」
「ファラオの言う通りです……。」
「1月後半からのイベント、最近カルデアに所属した私達にとっては過酷そうなイベントだから参戦しない方向で行きますね。」
「戦力も無く、余と猫に頼っている中で暫くの間とて走れなくなるのは辛いからな。」
「まぁ素材集め程度に…。」
「うむ。」

うんうん、と頷く二人を前に、ジキルはぼんやりとその光景を眺めていた。仲がいいなぁ、と。ジキルも名前にとても気に入って貰えてる身の為、他の者より優先的に育ててもらえて居るのだが…。

「(後素材の集めやすさかな?塵もピースも、イベントのお陰で揃うし……)」

現在ダ・ヴィンチの贋作が出回っており、それを回収、犯人を突き止める催しが開催されている。それのお陰で素材がポロポロ手に入るわけで。

「さてさてジーくん!」
「あ、うん。」
「はい。」

そっと渡されたアサシンピースと虚影の塵。ジキルがそれを受け取ると僕の立つ場所に浮かび上がる魔方陣。ふわりと2つの素材がジキルの体に溶けて消えた。
マスター 名前と、ファラオ オジマンディアスがじっとこちらを見ているのがジキルには嫌な程分かった。光が消えて。そして名前はそっと口を開く。

「怪我、してるの?」
「え?」
「だって……それ……。」

シャツに浮かぶのは、紛れも無い血痕。

「……やっぱり、ジーくんはハイドくんなんだね……。」
「…………。」

それは、ジキルにとっては辛い一言だった。悪を嫌うジキルに、悪そのもののハイドを肯定させるのは苦痛以外の何物でもない。

「おい、バーサーカー…いや、アサシン。」
「…なんだい、ライダー。」

名前は知らないが。
ジキルとオジマンディアスはここではない何処かで聖杯戦争にて敵対していた存在だ。ジキルのマスターが死して尚、1人でセイバー、ランサー、アーチャーを相手していたその時に、ライダーであるオジマンディアスは彼を焼き殺した。
正直に言うと、ジキルはこのオジマンディアスが怖い。自分を殺した恐怖対象だ。しかし、自分の知るライダー オジマンディアスとは少し、いや、かなり違う性格をしている故に、マスターのお陰もあり心を開きかけては居たのだが。

「個奴は子供故。」
「………。」
「気難しい事は分からんのだ。許してやれ。」
「……うん。」

オジマンディアスより先にこのカルデアに呼ばれては居るが、マスターである名前が誰よりも一番信頼を置いているのはオジマンディアスだろう。彼女の表情を見れば明らかだ。

「(……僕は。)」

ジキルか、ハイドか。どちらが彼女に好かれて居るのだろう。必要とされて居るのだろう。あやふやで、曖昧な立場。

「ごめん、ジーくん…ジーくんは……。」
「ううん、気にしないで。じゃあ、僕は図書館に用事があるんだ。」
「え、あ、うん…ごめんね、霊基再臨の為とはいえ、呼び止めて……。」

用事など、無い。だが、居るのが辛かった。それだけだ。

「(僕は、君の一番にはなれないの、かな。)」

ハイドにも、負けている気がする。僕は弱いから。ジキルはそっと頬に触れた。

「あれ…。」

ポロポロととめどなく涙が零れ落ちていた。何故?

「…嗚呼、そっか。」

僕は、あの子のことが。
そっと涙をふいて立ち去った。





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