短編
ゆるっとカルデア3

※台詞ばっか

「ジーくん!」
「マスター。どうしたんだい?」

ヘンリー·ジキル。名前が初めての召喚で喚んだサーヴァントの1人にして、2つの人格を持つ青年。もう1人の人格者はエドワード·ハイド。ジキルからしたら憎きもう1人の人格。

「ジーくん好きそうな本見つけた!」
「おやそれは本当かい?」
「ジーくんって基本私がオススメした本はハマってくれるよね。」
「趣味が合うのかもしれないね。」

優しく紳士的なジキルは名前の変な呼び方である「ジーくん」呼びも受け入れている。
名前とカルデア内にある図書館に訪れたジキルはとある人物を見つけてジキルにおすすめする本を探す為はしゃぐ名前に耳打ちする。

「マスター、しー……。」
「おっ?」
「ほら、あそこ。」

ジキルの指さした先。そこには子ギルの姿があった。絵本を読んでいたのだろう、開かれたページに突っ伏して寝ている姿は歳相応に思える。しかし彼はいずれ英雄王、そして賢王となるお方なのである。

「ギルくん寝てる。珍しい。」
「昨日は種火周回で頑張ってたからね。」
「可愛いなぁ〜……ショタコンでもいいやぁ〜〜……。」
「(とてもじゃないけどマシュさんとファラオに見せられる顔じゃない…)」

ジキルは苦笑いを浮かべながらそっと自分の羽織っていたものを子ギルにかけてあげる。名前は相変わらずニヤニヤしているのだが……。

「子ギルくんが寝ているし、本を見つけたら出ようか。」
「マイルームに行く?時間が時間だし、タマモちゃんがおやつ用意してくれてるかも!」
「おや、それは楽しみだね。」

顔を見合わせて微笑み合う。幸せだなぁ、とジキルは思った。しかし。

『マイルーム行くのかァ?じゃあ俺様まだクリアしてねぇゲームあんだよなぁ!』
「!」

ギャハハハと愉快な声が脳に響く。

「もう!黙ってて!!」
「ふぁいっ!??」
「あっ!ちがっ!マスターじゃなくて……!」

あわあわと慌てると脳内にまたハイドの笑い声が聞こえる。遊ばれている。完全に。

「またハイドくん?」
「…うん。」
「二人が分裂出来たらいいのにねぇ?」
「地獄、かな?」

そう言うと名前はそうかぁ、と苦笑いを浮かべる。名前は二人とも好きだ。善のジキルも、悪のハイドも。

「でも、二人が仲良く出来たらいいのにっていつも思うよ。これは本当だよ。」
「………うん。」

もしかしたら何処かではそんな世界もあるのかもしれないね。ジキルはそっと瞳を閉じた。





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