短編
今宵貴女と

※晴明の妹主人公
※6章クリアでカッとなって書いた。反省も後悔もしている。

私が護人探しの旅に同行している理由は定かでは無い。別に自分から望んだ事でもないし、お兄様が着いておいでと言った理由でもない。でも、何故か共に旅をしていた。
お兄様と仲の良い晋作様。同じ女の子だからと大変良くしてくれる太陽の巫女様。よく分からない食い意地のはった神獣。そして、私のお兄様。
私は巫女様と同じで戦闘要因ではない。お兄様が張ってくれる結界の護りの中から、晋作様たちの戦いをじっと見詰める。負ける筈がないのだけれど、これは私のくせなのだ。預言者の私を巫女様と神獣は凄いと言ってくれたけど、晋作様は知っていた事もあってか特にそんな事は無く。お兄様だって、それが当たり前なのだから勿論褒めてくれる訳がない。お兄様からしたら、私なんて蟻と同レベルだろう。預言が出来るくらいで、戦うことは愚か結界すら張れない。本当にお兄様と血が繋がっているのかと思ってしまうぐらいには、その力の差は大きかった。

「何悩んでんだよ。」
「…晋作様。いえ、悩んで等…。」

ある日の夜だった。野宿となった夜に私は寝付けずに居た。どうする事もできなかった故に、少し1人になって考えたいと場所を離れたのだ。ぼんやりと月を見ながら、風に当たる。そんな中で、晋作様が私の元へやって来た。

「…式神も出てくんだ…1人で出歩くな。」
「そう、ですよね…。申し訳ありません晋作様。」

ペコリと頭を下げた私に、晋作様はその大きな掌を下げた頭に乗せた。その手はとても暖かかった。

「何悩んでんのか知らねぇが…どうせお前の事だ、晴明の事だろ?」
「…ええ、その通りで御座います。」
「あんま、気張りすぎんなよ。」
「………ありがとうございます。」

晋作様は不器用だけどお優しい。私がお兄様にこの様に優しくされたのはいつだったかしら。思い出せない。お兄様にとっての私は、ただの預言者に過ぎず、足でまといにしかならない存在だから。

「お兄様、は…。」
「あ?」
「私の事など…どうでも良いのでしょうね…。」

気付けば自嘲気味に吐き捨てていた。
それを聞いた晋作様は眉を寄せ、訝しげに私を見詰める。

「お前…気づいてねぇのかよ。」
「え?」
「彼奴はいつだって「晋作。」…晴明…。」

晋作様の言葉を遮ったのは、お兄様だった。
晋作様はバツが悪そうな表情に変わり、ワリィ、とだけ吐き捨てた。

「名前。話があります。」
「…は、い。」

嗚呼、遂に私も切り捨てられる。
お兄様に捨てられたら、私は…もう。
泣きそうになった私を見て晋作様がお兄様の肩を掴みますが、お兄様はそれを振りほどきました。

「兄妹の会話に、他人が入らないで下さいませんか…?」
「……っ!チッ!」

晋作様が舌打ちをして帰っていく。私とお兄様だけが残され、風に揺れる木々の音と、虫の鳴き声だけが流れていく。

「…名前。」
「は…んっ!?」

グッと身体が引き寄せられ、お兄様と私の距離が…零になる。月の光によって照らされる私達の影が1つになっていた。繋がった唇。隙間からお兄様の舌が割り込み、私の口内を蹂躙していく…。

「ふ、んんぅ!お、にぃしゃま……ぁ。」

ぴちゃ…聴覚を犯す音にカッと頬が熱くなる。嗚呼、そんな。私は、お兄様に口付けられている。それも、こんなに激しく熱く。腰は砕け、目は虚ろ。もう、何も、考えられない。

「…名前。」
「ふぁ…は、ぃ…お兄様…。」

お兄様の手が、私の身体を撫でる。もう、止められない。私はお兄様がずっとずっと好きだった。憧れだった。常に共にいた。お兄様からしたら私なんて出来の悪い妹だったに違いない。それでも、そんな私を跳ね除けようとしなかった。そんなお兄様に私は惹かれていったのだ。兄として?いや、男として。

「名前は、誰のモノです…?」

妖しく輝く紅の瞳。私はお兄様にそっと口付けだ。

「貴方のモノです…。晴明お兄様…。」

今宵貴女と狂い咲き

珍しく女主書いたら近親相姦_(:3」 ∠ )_
title:楽曲【極楽浄土】より



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