壊れて消えた
(夢100/フロスト/男主/シリアス)
「無様だな」
昔から仲の良かったスノウフィリアの王子、フロストは僕を見下ろしてそういった。
僕が王子として君臨する国が、国民や王族等皆が、ユメクイにやられた。皆が皆、希望を捨てた。僕はたまたま、別の国に遊びに言っていたから、何も被害を受けなかった。僕が、他国に行っていた、から。
「僕は、この国の王子として出来損ないと言われて育てられた。兄弟の方が、凄かった」
「知っている」
「だから、別に、僕が一人で何処かに行こうと…何も無いって、思ってて……」
「………名前、貴様はこの国の王子の中でも、魔力だけは他の者を凌駕していたんだったな」
そう。僕は、沢山兄弟がいる。
でも、その中でも僕は、一番魔力が高かった。対して勉強も出来ない、親に歯向かう、国民とは言い合いをする、そんな存在なのに魔力だけは馬鹿みたいに高かった。
「僕が、あのとき、この国に居たのなら」
「……希望はあっただろうな」
「…………………」
フロストはただ静かに、真実を述べた。
「僕は、最悪だ……」
一応、この国の王子だった。例えどれだけ親に愛されて無かろうが、国民の期待に答えて無かろうが、僕にはこの国の王族の血が流れていると言うのに。
「………フロスト」
「………何だ」
フロストは何も言わない。ただ、僕の言葉に反応してくれるのみ。
「僕は、此処で、救世主を待つよ」
「……?」
「きっと、ユメクイを倒してくれる人が来るって…僕はそう信じている」
「………そうか。なら俺は帰るぞ」
フロストはそういって踵を返す。僕は、遠くなっていくその背に向かって叫んだ。
「僕はっ!君のような!素晴らしい王子になれるかなぁっ!?」
絶望に埋もれたこの国。僕が、希望を持たなければ、この国を再建するのは無理に等しい。
フロストは背を向けたまま、右手を上に挙げた。
壊れて消えたシャボン玉飛ばそ、屋根まで飛ばそ
フロストがユメクイにやられる前、トロイメアの姫の存在を知る前、的な
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