どっちもどっち
(夢100/ジーク/男主/めっちゃ短い)
「僕は、君がどの国の王子よりも一番王子らしいと思っているよ。羨ましいね」
そう告げると飲んでいた紅茶を机に置いた。怪訝そうに僕を見つめている。
「僕だって一国の王子だ。だけどね、兄弟よりも勉強だってしないし、対して得意な事も無い。それに比べて君は、レディファーストで、剣術に長けていて、物腰も柔らかで、丁寧で……僕なんかと全然違う」
「名前……」
別に僕は自暴自棄になっている訳じゃない。ただ、僕に無いものを持っている彼が羨ましくて仕方がない。
「私は…名前が羨ましい」
「………?」
彼、ジークはその瞳を細めた。
「私は…姫を守る騎士にならなくては、と……常にそう思っておりました。それに、国の王子。私が、しっかりしなくては…と。しかし、ずっとその気持ちでいると、心が疲れてしまいます。型にはまって居なければ、と思う自分と、自分の好きなようにやっても良いのではと思う自分。
何と言いますでしょうか……。一言で言いますと、そのような概念に囚われない者達が羨ましい。他の国の王子は、もっと自由だ。名前も、その一人です。……嗚呼、悪い意味では無いのです。勘違いしないで下さい。
自由と言うのは…素晴らしいです。型にはまっていない事は、私にとって憧れと言いますでしょうか……」
「ふぅん………」
誰よりも王子らしく振る舞う者にも、それなりの苦労があるらしい。僕は、恵まれて居るのだろうか。
「ですが、名前はもう少ししっかりした方が良いですよ」
「………へーい」
でも、やっぱり僕は君が羨ましい。
どっちもどっちジェントル属性と言うか、ヘタレ属性な彼が大好き
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