ずっと、ずっと、
「僕達は『papillon』!!さぁ!蝶のように煌びやかな僕等の演舞をご覧あれっ!!」
湧き立つ歓声の元で、偽りの笑顔振りまいて仲間と歌い踊る巫都。天祥院英智とpapillonの一騎打ち。勝敗なんて、目に見えている。蝶は羽根をもがれて地に堕ちる。
「零」
「………………」
「いやぁ、僕達は、頑張ったんだけどね」
「んなの、分かってる」
ドリフェスで完膚なきまでに潰されたpapillon。巫都の相棒は何処かへ走り去って行った。観客も、天祥院英智も、居ない。この空間には、俺達しか居なかった。
「papillonは、終わったね」
「これからどうするんだ」
「fineに、誘われたよ」
「…………行くのか」
天祥院英智の元へ、行ってしまうのか。
巫都は、アイツの元へ。俺なんかより。
「……………僕はね」
「あ?」
「1人で居るよ」
「は?ユニット組まねぇ気なのか?」
「活動休止、だよ」
フワリと微笑んでいた巫都。ずっと続けてきた偽りの笑顔なんかではなく…本物の、巫都の、笑顔。
「"私"は、零以外の男と付き合う気は無いよ」
「っ!!」
抱き締めてやりたかった。頭を撫でてやりたかった。だが、身体が思う様に動かない。俺は拳を強く握る事しか、出来なかった。
ずっと、ずっと、好きだった
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