無謀と知っても、
「はぁーーーー……」
「ンだよ…でっけぇ溜息なんか吐きやがって」
「えーーー???」
ヒラリと巫都が俺に渡してきたプリント。そこには【進路調査表】の文字。こんなの配られたか?記憶がねぇ。
「まだ明確に決まってないんだよねー」
「母親追うんじゃなかったのかよ」
「いや、そうなんだけどさー」
巫都の母親は女優だった。本人は昔ッから母親みたいになる、と言って演劇だのなんだのに力を注いできた。
「うがーーー!!どうしよー!!!」
「うるせぇ」
「そうだ!零!零は!!?」
キラキラした目を向けながら質問をしてくる巫都。俺が行きたい進学先はほぼ決まっていた。夢ノ咲学院。男性アイドル育成校だ。
「…………教えるかバーカ」
「へああああっ!?何で!」
「楽しみは最後まで取っておけよ」
「うああ……零のけちんぼー」
さっきからコロコロと表情を変える巫都は見ていて飽きない。あーだうーだ唸る巫都の頭を一撫でしてやると、それは嬉しそうに微笑んだ。
無謀と知っても、好きだった
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