火炙り
「赤のクランだったなら……」
「……」
「燃えて死ねたかなぁー……?」
「…赤の王の炎に触れて、燃えたら死ねる」
燃えなかったら素質があるとして認められる、なんて事は決して口にしない。
今日の稲荷が選んだ自殺行為は火炙りか。100円のライターの火を、ボンヤリと見つめている。
100円ライターなんて、ジッポと違い点火し続けていれば熱くなってしまう。しかし、今のコイツには火傷なんてどうでもいいんだろう。その内、開いた窓から風が入り、火が稲荷の指を焼く。肉の焼ける、焦げ臭い嫌な臭いに思わず眉を寄せ、舌打ちする。
「やっぱり、いたいねぇ」
「…………」
「伏見くん、お水、コップに入れてきて」
「チッ」
傷口を見ながら、稲荷は寂しそうに笑っていた。
火炙り
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