溺死


ブクブクブク……と、並々と水が入ったバケツに頭を突っ込む稲荷を見て溜息を吐いた。今日は、溺死らしい。
いくら今、他の面子が出払っていると言っても、職場でやるかよ普通。俺以外が先に帰ってきていたら、コイツはどうするつもりだったのだろうか。

「プハッ……………あ、あー?ふしみ、くん……おかえり………」

「チッ…………ああ」


ぜーはー、ぜーはーと息を荒くし、それでも笑うコイツは馬鹿だ。顔は真っ青である。


「一瞬ね、川が見えた」

「嘘を吐くな」

「バレた?」

「バレバレだ」


しかし、全てが嘘では無いだろう。
だが、死にたがりなら、何故。そのまま溺死を選ばなかったのか、俺はわからなかった。

溺死




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