君に触れられない

I can't touch you.

「O高にいる時噂に聞いてたんだけど、その摂津くんに会えるとはあの時思わなかったなぁ…。」
「あー?」
「摂津くん、私のクラスでは超かっこいいってすっごい人気だったんだよ。ちょっとワルっぽいのがまた良い!……って。」
「……そーかよ。」

ちょっと待て、つまりこいつは俺が不良なのわかってんじゃねーの?何だよ、悪いイメージ付くのが嫌だと、ガキがいる時に話したがらなかった癖して。

「摂津くん、ワルなの?」
「は?知ってんじゃねーの?」
「ううん、私が詳しく聞いた摂津くんの噂は、「花学の摂津万里はイケメン」って事だけ。」
「マジかよ。」

そっちの噂だけ聞いたってやつ珍しくねぇか。普通、「花学の摂津万里は授業もろくに出席せず(計算はしてるっつの)、ゲーセンか他校の奴に喧嘩吹っかけている札付きのワル」って噂の方がよく耳にするだろうに。O高と言えばあの兵頭がいる高校だ。俺が兵頭に喧嘩吹っかけて負けた事も噂になっていたんじゃないのか。

「いわゆる、ワルって呼ばれる人種だと思うぜ。」
「まじかぁ。でも摂津くん、喧嘩とか似合いそうだもんなぁ…。」

触れない癖に俺の頭を撫でる真似をする巫都。触れられていないからなのか、何なのか。別に嫌ではなかった。摂津くんの髪って綺麗だね。突如として言われた言葉に少しドキリとした。

「巫都の方が綺麗じゃね?」
「そうかなあ。根本プリンになりかけてない?」
「ギリギリなってねぇな。」
「そっかぁ。なら良かった。」

無風なのに靡く金髪。俺が初めて巫都に出会った時、バサバサだったのが不思議でならなかった、あの髪。髪自体は美しい金髪。染めたものらしい。

「摂津くんの髪ってミルクティー色。すごい綺麗。」
「まぁ、手入れには時間かけてるし?」
「女子みたい。」

ふわりと笑った巫都は、やはり可愛い。あー、ちやんと髪型整えて、俺が服選んで着せてやりたい。ぜってぇ映える。今の、時が止まったままの夏服なんかより、断然巫都に似合う自信がある。



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